1月6日に都内で開催されたトランプ応援デモ
アメリカ大統領選をめぐって米国時間の1月6日、米連邦議会にトランプ氏支持者らが乱入し、5人の死者を出した。この少し前、日本時間の同日6日、日本ではトランプ氏を支持する人々が東京・銀座で「最後の戦い」とするデモ行進と街宣を行っていた。こちらの「戦い」は暴力を伴わないものだった。
これまでの類似のデモの取材とあわせながら、日本でトランプを支持する運動を展開してきた「
Jアノン」がどのような運動だったのか、改めて整理したい。
アメリカの陰謀論「Qアノン」をもじって、日本でトランプを支持しQアノン同様の陰謀論を唱える一群が一部で「Jアノン」と呼ばれる。その実情を知る上でも、まずは、これまで日本でトランプ氏を応援するデモや集会を開催してきた主要団体の顔ぶれを整理しておこう。
日本のトランプ応援デモや集会は、米国大統領選があった昨年11月以降だけでも大小無数に開催されてきた。実際には、1月6日の「最後の戦い」以降も開催されている。このうち私自身が現地取材をしたのはごく一部だが、ネット上での各団体による告知や事後報告等で情報を補足して、まとめる。
2週間おきに合同で首相官邸前集会を繰り返してきた
「トランプ大統領を支援する会」「日米同盟強化有志連合」「自由と人権を守る日米韓協議会」の3団体。さらに昨年11月29日に日比谷、12月27日に名古屋でデモ行進を行った
「トランプ米大統領再選支持集会・デモ実行委員会」。そして11月25日と12月23日に日比谷でデモ行進を共催した
「トランプ・サポーター・イン・ジャパン」「チェンジジャパン」。
いずれもメンバーや路上での活動以外の実態は不明だが、「トランプ大統領を支援する会」「日米同盟強化有志連合」には、
サンクチュアリ協会(統一教会分派=7男派)関係者である小林直太氏と同姓同名の人物や、千葉県にある
「浦安サンクチュアリ教会」の代表者・松岡裕子氏と同姓同名の人物が関わっている。小林氏は「トランプ大統領を支援する会」の事務局長だ。
また「自由と人権を守る日米韓協議会」には、同じく
サンクチュアリ協会の会長・江利川安栄氏が関わっている。
統一教会の日本支部に当たる日本統一教会の第7代会長だった人物だ。
小林氏は「トランプ米大統領再選支持集会・デモ実行委員会」が関わるデモにも繰り返し参加している。また、「最後の戦い」だった1月6日より後も、1月17日に福岡でデモが行われたが、こちらは「日本の自由と平和を守る会 福岡」が主催で「トランプ米大統領再選支持集会・デモ実行委員会」は協賛。チラシに記載された主催者の代表者は、福岡県にある
「九州有明サンクチュアリ教会」の教会長・松本昌昭氏と同姓。連絡先電話番号は同教会と同じだった。
つまり首相官邸前で集会を開いている3団体だけではなく、トランプ米大統領再選支持集会・デモ実行委員会も、
サンクチュアリ協会勢力と親しいか、少なくとも一緒に活動する程度の友好関係にあるということだ。
1月17日の福岡のデモについては、ルポライターの安田峰俊氏が『デイリー新潮』で詳しくリポートしている。
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博多でトランプを支援する「Jアノン」 デモ密着で見えた正体
11月29日の東京でのデモには、アメリカに亡命した中国人実業家・
郭文貴氏らが設立した反中国共産党団体「
新中国連邦」の旗を持つ一群も参加していた。先導車のドライバーは新中国連邦の旗を振りながら運転していた。実行委員会と新中国連邦は一体ではないかもしれないが、新中国連邦もしくはその支持者がデモ主催者側のスタッフに加わる程度の関係にはあるようだった。
「トランプ・サポーター・イン・ジャパン」と「チェンジジャパン」は、ともに
幸福の科学系だ。「トランプ・サポーター・イン・ジャパン」は、
信者であり幸福実現党党員であることを公言している古山貴朗氏が代表。「チェンジジャパン」は、
幸福実現党外務局長・及川幸久氏と幸福の科学職員・与国秀行氏の団体。両団体は日比谷から銀座にかけてデモ行進をした後に、銀座・数寄屋橋交差点付近で演説を行うが、そこで使われている街宣車は
与国氏が主宰する政治団体「武士道」の車だ。当然、デモ参加者の多くが幸福の科学信者と思しき人々である。
複数の団体が入り組んでいてわかりづらいが、全体を見渡せば構図は比較的単純だ。
サンクチュアリ協会関係者と思しき人々が相乗りしている「トランプ米大統領再選支持集会・デモ実行委員会」のデモと、幸福の科学系のデモ。この2系統が、都内での2大勢力だ。そしてこれらのデモの周囲で
法輪功が、新聞を配布し、また関連メディアがデモを取材し報じて情報を拡散するという形で加わっている。