「沖ドキ!」撤去でなぜ業界は一丸となり得たのか?

新台入替イメージ

※写真と本文は関係ありません。 photo by 栄華

パチンコ業界が直面している「旧規則機撤去」問題

 パチンコ業界が、コロナ禍で経営環境が困窮するなか、法律では設置期限が1年間延長された旧規則機(2018年2月の遊技機等規則改正前に製造された遊技機)を、業界団体の集合体である「パチンコ・パチスロ産業21世紀会」(以下、21世紀会)の求めに応じ、法律が定める期間よりも短い期日で撤去に踏み切ったのか-ー。  本稿は先日の配信記事「一部地域で「反乱」とも言われた「沖ドキ」撤去の真実。問題を通して見た、パチンコ業界の底力」を承前として書き進めている。  本稿しか読まない読者のためにパチンコ業界が抱える事情をダイジェストで説明すれば、今パチンコ業界は高射幸性遊技機を含む旧規則機の撤去を、業界をあげて進めており、それはコロナ禍のなか国家公安委員会が特例で延長した1年間の設置期限よりも短い期間で撤去する事をパチンコ業界の内部規制として定めており、一部パチンコ店がその求めに応じず業界内でも問題になってはいるものの、全国9000店舗のパチンコ店のうち97.5%のパチンコ店がその撤去に応じているというもの。  特に焦眉の問題となっているのが、パチスロファンからの人気も高く、パチンコ店の売上にも大きく貢献してきた「沖ドキ!」というパチスロ機であり、コロナにより客数が激減しているパチンコ店にすれば、1日でも長く設置稼働させたいのが本音の中の本音。それでも撤去に応じた。今までまとまりがないと言われ続けたパチンコ業界が、これほどまでに足並みを揃えた背景にはどのような事情があるのか-

「沖ドキ!」撤去でなぜ業界は一丸となったのか?

 その事情、背景には2つの事柄が複雑に絡み合っている。  一つは、21世紀会が求める旧規則機の撤去期限を守らなかったパチンコ店に対するペナルティである。  高射幸性遊技機である「ミリオンゴッド-神々の凱旋-」「サラリーマン番長」、そして年始以降に問題になっている「沖ドキ!」を中心に、旧規則機の撤去に応じなかったパチンコ店には、2つのペナルティが課せられる。  ペナルティの1つは中古機移動の制限。未撤去パチンコ店は、中古機市場で購入した遊技機であれ、同一法人間のチェーン店間の移動であれ、中古機の移動設置が出来なくなる。これは中古機流通協議会が定めているルールであり、高射幸性遊技機の場合は120日、その他の遊技機の場合は60日の移動制限がかけられている。  もう1つのペナルティとは新台購入時における制限。これは遊技機を販売するメーカー毎に対応が異なり、完全に販売をしないメーカーもあれば、変わらず新台を販売し続けるメーカーもある。あくまでメーカー団体の総意としてのペナルティではなく、個社個社の対応という範疇に留められている。新台であれ中古機であれ、遊技機の購入が思い通りに出来ないということはパチンコ店にとって営業が苦しくなる。これが、多くのパチンコ店が撤去に応じた理由の一つである。  それでは、「ペナルティ」以外のもう一つの要因とはいったいどのようなことなのか?
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「ペナルティ」以外のもう一つの要因
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