※写真と本文は関係ありません。photo by JIRI / PIXTA(ピクスタ)
ネット上には、様々な話術で人を扇動して自分の商法に引き込もうとする情報商材屋などが溢れている。それらの界隈を観察してきた筆者としては、言葉巧みな人に支持者が多くついているのを見ると危ういと感じてしまう。
音声を使うSNS「Clubhouse」が話題となっているが、ここも遠からず怪しい輩たちの牙城になってしまわないか危惧しているところだ。
そんななか今回は、彼らのよく使う「
疑うべき言葉」を取り上げたい。
■「お金は出せば入って来る」
スピリチュアル系の自己啓発セミナー主宰者がよく使う言葉である。
自分の買いたい物、やりたいことに気前よく金を出していれば商売がうまくいき、再びお金が入ってくるというもの。これとセットで言われるのが「お金のブロックを外す」。我慢することや倹約を止め、じゃんじゃん使って気分よく過ごそうという意味であろう。
そうすれば再び金が入る、というのは何の根拠もないただのスピリチュアル的な妄想なので、マインドを変えようという話なのか。
これらの言葉の怖さは、経済状況や家計を全く知らない他人があなたの金銭感覚を変えようとしていることに他ならない。無責任が過ぎやしないか。
筆者はスピリチュアルとも親和性が高く、これらの言葉を駆使する某「オリジナル心理学資格」のセミナーの動画を見たことがある。
「お金がない」との悩みを打ち明ける相談者(セミナー行ってる場合か、とツッコむべきだが)に対し、ステージ上の主宰者が言い放ったのは「借金イエーイって言ってみて」だった。つまり借金することすらも恐れずに金を使う心を持てということだ。
一見、馬鹿馬鹿しく思えるこの助言には、「ケチケチされると自分のセミナーに来なくなるから」という意図が透けて見えると言っても過言ではない。
ちなみにセミナー会場に神社と賽銭箱まで設置していたこの主宰者は、昨年末で「心理学」のセミナーを止めたようだ。
■「信用がお金になる」
映画を作ったことで話題の「教祖様」とも揶揄される芸人が、こう宣っていた。
これはよく考えてみれば万人に当てはまる理論ではない。「信用をお金に変えたい」とのアイデアをこの人が巧みに「お金にできた」というだけだ。
あの御仁には、自身の思想を大勢の人に落とし込める「
オンラインサロン」がある。閉鎖的な空間で強い言葉で持論を展開すれば、妄信する人もたくさんいるだろう。
そこで「
クラウドファンディング」を繰り出す。これがお得意のパターンである。
委細は省くが、リターンありの“寄付”とはいえ、どんな御託を並べようと実質は何かの権利を高額で販売しているのだ。しかし「信者」となれば買ってしまう。
彼にとっては「信用を稼ぐ」ことがそのままお金に直結していると言える。
誰もが信用をお金にすることが可能なら、例えば昨今のコロナ禍で、劣悪な環境で働く医療関係者やエッセンシャルワーカーが経済的に苦境に立たされている現状はおかしい。
他者のために身を粉にして働いて信用されている人たちは、その集まった信用をもとに言葉巧みにこんなネット民限定のシステムを運用しないし、そんな暇もないだろう。