保健所視察は千代田区長選のための「選挙対策」!? 「五輪ファースト」で動き始めた小池都知事の“野望”

「コロナよりも五輪」の姿勢で一致する菅首相と小池知事

1月22日の都知事会見でも、五輪開催強行の姿勢を露わにした小池知事

1月22日の都知事会見でも、五輪開催強行の姿勢を露わにした小池知事。菅首相との不仲説が流れているが、五輪開催では足並みをそろえている

「五輪やGoToキャンペーンを優先してコロナ対策が遅れ、感染爆発を招いた」と批判されている菅義偉首相と小池百合子都知事が、さらなる第四波を招きかねない五輪開催を強行しようとしている。「コロナウイルスに打ち勝った五輪を開催」とアピールして、総選挙圧勝を目論む狙いが透けて見えるのだ。  菅首相は1月27日の参院予算委員会でも、立民の石橋通宏参院議員に「世論調査で開催反対が多いのに強行するのか」と質問され、「安心・安全な大会を開催するため、具体的方法を検討している」「国際オリンピック委員会(IOC)と東京都、組織委員会と連携して準備を進める」と意気込み、中止や延期の可能性に触れることはなかった。  官邸側の選挙プランナーである三浦博史氏は「(五輪開催の場合)五輪史上、初めてパンデミックに打ち勝った祭典となる。国内は沸き立ち、自民は単独で3分の2以上を獲得する可能性大です」(1月18日付『毎日新聞』夕刊)と語っていたが、この“三浦プラン”が菅首相の耳に入っているのは確実。1月18日の施政方針演説でも五輪開催を「コロナウイルスに打ち勝った証」と位置づけたのはこのためだろう。「自分(選挙)ファースト・国民二の次」の姿勢は明らかなのだ。  菅首相との不仲説が流れる小池知事も、五輪開催ありきの立場では瓜二つ。1月22日の都知事会見で小池知事は、「日本政府が非公式ながら中止せざるを得ないと結論づけた」というイギリスの『タイムス』紙の報道について「いっさい聞いていない」「抗議を出すべきではないだろうか」と訴えながら「中止や延期の話は出てきていない」と強調した。

「都民の命よりも、五輪ファーストなのですか」との問いかけを小池知事は無視

千代田区保健所を「行政視察」し、囲み取材に応じる小池知事

千代田区保健所を「行政視察」し、囲み取材に応じる小池知事。右端は小池知事の直系である、千代田区長選出馬の樋口たかあき候補

 しかし、五輪を開催すればさらなる感染拡大を招くリスクがある。今でも危機的状況にある医療現場が崩壊し、救える命が救えなくなる事態も想定される。  そこで会見終了直後、この日も質問者として指されなかった筆者は、退出する小池知事に向かって「五輪開催で変異種(感染拡大)のリスクがあるのではないですか。『都民の命二の次』で『五輪ファースト』なのですか?」と大声を張り上げたが、小池知事は一言も発することなく立ち去った。  この日は「千代田区長選(1月24日告示・31日投開票)」へのテコ入れ(選挙対策)も兼ねた千代田区保健所視察が17時から予定されていたので、こちらも取材。保健所長らとの意見交換後の囲み取材で、「五輪開催で(千代田区保健所などの医療保険機関の)負担増をさらに強いることについてはどう思うのですか」と、都知事会見の場と同じ意味合いの質問をした。  小池知事は筆者の質問にはまったく答えずに、別の記者を指名して質問を促した。そこで、その質疑応答が終わった瞬間、「五輪で(医療保険機関の)負担増になることについてはどう考えるのですか。菅さんとの責任のなすりつけ合いで感染爆発を招いた責任は謝罪しないのですか?」と再び質問をした。すると小池知事は「囲み取材の終了」を宣言、都職員が「取材は以上で終了です」などと大声で叫んで筆者の質問に被せてきた。そして小池知事は、ここでも無言のまま4階の面談会場から立ち去った。  囲み取材での質問が連続で無視された筆者は、階段を駆け下りて出口付近で職員に行く手を阻まれながら「知事、五輪について一言お願いします。(医療保健機関の)負担増を招くのではないでしょうか?」と3度目の声掛け質問をしたが、小池知事は一言も発することなく保健所を後にした。
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千代田区保健所視察は、直系候補応援のための「税金を使った選挙対策」
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仮面 虚飾の女帝・小池百合子

選挙や五輪を優先して、コロナ感染爆発を招いた小池百合子東京都知事。
都民のためでも、国民のためでもない、すべては「自分ファースト」だ!