時事通信社
―― 森友学園への国有地売却をめぐる公文書改ざん問題で、安倍政権が2017~2018年におこなった国会答弁のうち、事実と異なる答弁が計139回あることが発覚しました。この事実は川内さんが衆院調査局に調査を依頼したことで明らかになったものです。
川内博史氏(以下、川内):財務省の公文書改ざん問題では、近畿財務局の赤木俊夫さんが自ら命を絶っています。財務省に追い詰められたのです。それにもかかわらず、
財務省は未だに問題の全容を明らかにせず、責任をとっていません。
財務省が自らケジメをつけないのであれば、政治がケジメをつけさせるしかありません。そのためには、まず事実関係を確認する必要があります。
もともと財務省は2018年6月4日に公文書改ざんに関する調査報告書を公表しています。その中では、理財局と近畿財務局は森友学園側との応接録が保存されている状況を認識していたが、
国会や会計検査院に対して存在しないという回答を続けたこと、情報開示請求に対しても「文書不存在」として不開示の決定を行ったことなどが書かれています。
問題は、これらの財
務省の対応には法的責任が問われる可能性があることです。国会答弁の基になる想定問答や情報開示請求に対する開示決定通知書は、いずれも公文書です。そのため、応接録があると知りながら「ない」という想定問答や開示決定通知書を作るのは、
虚偽公文書作成罪に当たる可能性があります。
この点を追及するために、私は衆院調査局に依頼して事実と異なる答弁、すなわち虚偽の答弁について調査してもらったのです。その結果、
安倍政権は2年間で計139回の虚偽答弁を行っていたことが明らかになりました。当時の
佐川宣寿理財局長や
太田充理財局長ら財務省高官のみならず、
麻生太郎財務大臣や
石井啓一国交大臣ら閣僚も虚偽答弁を行っていました。
そうすると、次は139回の虚偽答弁について想定問答があるかどうか、あるとすれば作成者は虚偽と認識していたかどうか、ということが問題になります。また、虚偽答弁の扱いをどうするのかも問題になります。国会答弁は国会議事録に保存されて歴史に残るからです。現在、私はこれらの点について財務省に確認を求めているところです。
最終的には、虚偽の想定問答や開示決定通知書の作成を命じた者が誰なのかを明らかにした上で、責任をとってもらう必要があります。しかし、財務省は省内の責任問題に発展するため、公文書改ざん問題の再調査を否定しています。そのため、
政治家が国政調査権や予備的調査を駆使して、真相解明に取り組むことが重要なのです。
―― 虚偽答弁が139回に上ったことをどう受け止めていますか。
川内:
安倍政権は国会で嘘をつきまくったということです。嘘が嘘を呼び、隠蔽が隠蔽を呼んだ結果、財務省は組織としてのタガが外れてしまったのだと思います。何より、その過程で財務省は一人の人間を自死に追い詰めたのです。
確かに証人喚問以外では、国会で嘘をついても法的責任は問われません。しかし政治的責任や道義的責任は免れようがない。閣僚や政府高官が国会でこれだけ嘘をつくというのは、
民主主義や統治機構を破壊する行為です。これでは国家が成り立ちません。
こんなことは二度と起こしてはならない。そのためには、問題の全容を解明して組織として責任をとることが絶対に必要です。虚偽公文書作成を命じた責任者はもちろん、最終的には麻生財務大臣が責任をとらなければならないと思います。