コロナ禍だからこそ飲むべきか、飲まざるべきか? アルコールがもたらす繋がりを再検証する

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イラスト/いらすとや

コロナ禍だからこそ飲むべきか、飲まざるべきか?

 こんにちは。微表情研究家の清水建二です。本日は、アルコールと表情・感情との関係について考えたいと思います。テーマは、コロナ禍だからこそ飲むべきか、飲まざるべきか?です。  新型コロナウィルスが猛威を振るう以前、私はアルコールが好きで、さらにお酒がもたらす場の空気が好きで、毎日飲んでいました。量としては、ワインボトル1本~2/3本くらいです。日々、どこかの居酒屋かBar、そして、家でも飲む生活をしていました。緊急事態宣言が発令されたのを契機に、家に閉じこもることになり、買い物に行くことも減り、アルコールを一切飲まない生活が続きました。  すると、様々な変化が生じました。体重が5キロほど減り、睡眠の質が上がり、貯金が増え、仕事をする時間が増えました。仕事をする時間が増えたのは、良いことかどうか疑問ですが、アルコールを断つことで健康的になったことを実感しています。  ジムに行っても、食事制限をしても「中々痩せないな」と思っておりました。また、「こんなに飲み代にお金を使ってたんだ!」という驚きがありました。これは幸いと、緊急事態宣言が過ぎてもアルコールをほとんど飲まない、飲んでも食事のときにたしなむ程度になりました。

社会的絆をもたらすアルコールの効用

 しかし、ここ最近、この生活に問題を感じるようになりました。それは、「」です。懇親会の場で、アルコールを飲みながら、公式な場、例えば、オフィスでの仕事上のやり取り、取引先との営業や交渉、大学での講義や社員研修中の場では、語ること・語られることのできなかった、個々人の心を映し出す話題や想いのやり取りが希薄になってしまっているように思うのです。こうしたやり取りから、意外な発見や発想も生まれることもあり、チャンスの喪失も感じています。  アルコールのもたらす社会的絆についてメタ分析した研究によれば(Capitoら, 2017)、アルコールを飲むことでポジティブな表情が増え、ネガティブな表情が減るということがわかっています。さらに、偏見を抱く人に対しても丁寧に振舞えることを通じて、人間関係を良好にしてくれる可能性があることをFairbairnら(2013)の研究は示してくれます。Fairbairnら(2013)の研究は次の通りです。
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アルコールは「気不味い空気」を緩和する
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