現在療養中の沢木和也
ビニ本やポルノ映画が流行していた1980年代前半、『AV(アダルトビデオ)』が誕生した。
AV業界の全盛期ともいえるこの時代には『全裸監督』(山田孝之主演)でも話題になった西村とおる監督や、“ゴールドフィンガー”で有名な加藤鷹、またプロレスラーとしても名を馳せたチョコボール向井などAVのスターたちが多く誕生する。
今回インタビューを行ったAV男優沢木和也も彼らのような“伝説”のひとりだ。
特に現在、40代以上の男性ならば顔を見たら「あの人か」とすぐに思い浮かぶに間違いない。本人いわく、「定かではないが1万本以上の作品に出演している」とのことである。
しかし彼はメディア露出が少なく、謎が多い人物である。業界内でもその素性を知る人は多くないといわれる。
そんな沢木がAV男優になるまでを追った前回。後編では沢木のガン闘病と終活について聞いた。
――お答えづらいことかも知れませんが、ご自身の余命についてはどうお考えでしょうか?
「全然わかんないけど、医者からは『1年もつかもしれないし、この状態で2年もった人もいるという状況だから』と言われてる。医者って長くしか言わないから、短くは言わないから。まあ1年持つ人もいますよって言ったら半年じゃん、実際には。まあでも半年以上経ってるけどね。
なんだろう、決定的なことがない限り医者も訴訟問題になっちゃうから言わないんじゃないかな。これぐらいかもしれないとは言うかもしれないけど。
だから俺が覚悟してたのは息子が高校行くのを見れるかどうか。あと半年くらいかなという覚悟は一応あるけどね。
ほんと急におかしくなったりするからさ、体調が。こないだ退院が急に延びたのもそうだけど、急に何かがあるのよ。だから、なんとも言えない。あと3年は生きたいんだけどね。希望としては」
――やっぱり息子さんの高校生の姿を見たいと。
「そうそう、卒業まで見たいね。高校野球に出るところが見たい、高校野球大好きだから。それだけは見たい」
――一方で、覚悟もしてらっしゃいますか。
「してるよ、もちろん。だから要所要所で、入院するときなどは息子に『何があるか分かんないから』って言って出かけてる。あとはもう言葉で言わなくてもわかってるとは思うけど、『まあ、しっかりやってくれ』というのはいつも伝えてるけどね」