負担増は「仕方ない」、少子化対策は「お見合いパーティ」!? 炎上した厚労省年金マンガの呆れた内容

 受給年齢引き上げ、17兆円超の運用赤字など、不穏なニュースばかりが目につく年金。そんな年金についてのマンガがSNS上で話題になったのをご存知だろうか。

意図は「説明」よりも「洗脳」?

 「酷すぎる」との声が噴出しているのは、厚生労働省が公開している『マンガで読む 一緒に検証! 公的年金』。複雑な公的年金の仕組みをマンガでわかりやすく説明するという作品だ。(参照:厚生労働省)  まず、年金を納めている大の大人に、マンガで仕組みを説明する時点で小馬鹿にしている気もするのだが……。それはさておき、肝心の内容はマンガだからといって視覚的に複雑な年金の仕組みがわかりやすくなっているわけではない。ほとんどは台詞で説明されており、時折「コミカル」な場面が入ることで、雰囲気が「ゆるく」なっているだけである。どちらかというと、年金の素晴らしさを訴えるプロパガンダに近い内容だ。  さて、冒頭から「年金子(としかねこ)」なる登場人物が「ねんきんこじゃないですよ!」と寒いギャグをかますこのマンガ。SNS上で特に注目されているのは、第11話「世代間格差の正体 〜若者って本当に損なの?」の一部だ。

精神論や建前に終始する内容

 詳しい内容は本編を読んでほしいのだが、以下に話題となっている台詞をいくつか抜粋したい(注:読みやすいよう句読点は編集部で追記)。 「今のお年寄りたちは教育や医療も十分でなかった時代に、自分たちの親を扶養しながらここまで日本を発展させてきました。そのおかげで今の若い世代が豊かに暮らしていることを考えると、若者が損とは言えないと思いませんか?」  まず、気になるのは都合のいい箇所だけ、やけに精神論が目につくことだ。わかりやすく説明したい意図があるのはわかるが、具体的な数字がまるで登場しないのである。  上記の箇所はその典型だ。以前の生活水準や収入に比べて、いま年金を納付・受給することのメリット・デメリットは説明されない。ただ、「昔も大変だった」という印象論のみが提示されている。  こうした年金の是非をオブラートに包む「ふわふわした」描写だけでも考えものだが、さらには開き直りとしか取れないような内容が続く。 「昔は兄弟が多いことが当たり前でしたが、今は一人っ子の家庭もずいぶん多くなりましたよね。また、医療が発達し、お年寄りも長く元気に生きていけるようになりました。それもあり、お年寄りを支えるための個人の負担は昔より重くなっていますよね」 「結局、若い人は大変ってことか……」 「少子高齢化が続けば仕方のないことですけどね」  そのほかのエピソードでは、経済状況や物価の変動に対応できるようになっていて将来も安心だと公的年金の素晴らしさを説いておきながら、「結局、若い人は大変」で済ませていることには驚くほかない。誰もが破綻しないかと不安に感じている年金制度への疑問を解消するどころか、これでは負担が増加している現役世代への死刑宣告である。
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積み重なる問題へのまさかの解決策とは
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