一般紙から科学専門誌まで、海外メディアが報じた「日本学術会議拒否問題」。菅政権の所業はファシズムの一丁目一番地
今、世界でもっとも注目されているニュースといえば、アメリカの大統領選挙、アルメニアとアゼルバイジャンの紛争、そしてもちろん冬を前にしたコロナウイルスの動向だろう。しかし、そんななかに割って入っているのがご存知、発足したばかりの菅政権による日本学術会議問題だ。
これまで推薦に基づいて総理大臣が任命することが通例となっていたが、なぜか法律を勝手に捻じ曲げて慣例を無視し、安倍政権に対して批判的な姿勢を見せていた6人の任命が見送られたこの問題。
法律無視であり学問の自由に対する介入だとの批判が沸き起こると、突然「日本学術会議の在り方」が議論され、「科研費4兆円を再配分している圧力団体」「死ぬまで年金250万円」といったデマがネット上で拡散され始めた。こういったデマの流布には大手メディアや政治家も加担しているのだから、あきれるほかない。
いったいなぜ特定の6人が任命されず、どのような経緯でこのような事態に至ったのかは、いまだにハッキリしていない。しかし、時間をかけて言い換えや改ざんを繰り返せば、どんな政治的な問題も風化してしまうことは明らかだ。モリカケ問題や桜を見る会問題を見ればわかるとおり、残念ながらこうした隠蔽体質はもはや日本の新たな「伝統」となっている。
今回の日本学術会議問題も、連日の論点そらしを見る限り、解決する日は遠いだろう。ただ、日本国内の有権者に対しては、それでも問題ないかもしれないが、世界からの視線は厳しい。
ワイドショーだけでなく、ニュース番組ですら、「誰が」「なぜ」という根本的な問題から学術会議の組織編成や予算へと矛先を逸らしているが、イギリスの大手「ファイナンシャル・タイムズ」はズバリ、「明らかな報復」と報じている。(参照:Financial Times)
「日本の新しい首相・菅義偉は、彼の最初のスキャンダルに巻き込まれている。政治的姿勢に対しての明らかな報復で、6人の教授を学術会議へ任命することを拒否したためだ」
なぜ任命が拒否されたのか、その理由すら満足に答えられない時点で、こうした見方が出るのは当たり前だろう。
「通常、学術会議の候補者は科学者によって選ばれ、政府によって任命される。しかし驚くべきことに、内閣府は理由もなく105人の候補者のうち6人を拒否した。
拒否された6人の学者のうち、3人は弁護士、2人は歴史学者、1人は神学者だ。そのうち何人かは、2015年に安倍政権が可決させた、有事の際に米軍を援護できる安全保障関連法に対して、公に異を唱えていた。
6人のうちの一人、立命館大学の刑事法学教授である松宮孝明は、2017年に安倍政権が秘密保護法を可決させたとき、国会で反対する答弁を行った。彼は現地メディアに対して、任命拒否は学問の自由への脅威だと説明している」
同様に、「ロイター」も任命拒否は安倍政権時の遺恨が原因であると指摘している。(参照:Reuters)
「安倍晋三の辞任によって先月政権を受け継いだ菅は、彼がコロナウイルスの鎮圧と経済の復興のため、規制緩和、携帯料金の値下げ、サービスのデジタル化をする、という約束を信じた有権者の高い支持を満喫していた。
しかし、6人の候補者の任命拒否(そのうち何人かは安倍政権への政策に批判的だった)は、怒りを焚きつけ、彼と有権者とのハネムーンへの脅威となるかもしれない」
「アナリストによると、1983年以降、首相は日本学術会議の推薦によって会員を任命しており、任命拒否を行なった例はない」
メディアや政治家によって拡まるデマ
任命拒否は「明らかな報復」
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