ロサンゼルスのビルボードを飾るKpopメンズグループ「Super M」(Photo by Hollywood To You/Star Max/GC Images)
『パラサイト 半地下の家族』がアジアで初のアカデミー賞作品賞授賞、BTSが坂本九以来、57年ぶりの全米シングル・チャート1位、日本のネットフリックスで『梨泰院クラス』や『愛の不時着』の韓国ドラマが現象的な大ヒット……。今年に入り、こうした韓国のエンタメが大ヒットしているという話を頻繁に耳にしていないだろうか。
しかし、そんな話題に対して「すごく評判のようだが、
今まで興味なかったし、今さら興味を持とうとしても……」と尻込みしてしまう人が少なくないのも予想できるところ。そこで今回は、この秋、話題のKポップとKドラマに注目してみることで、「
遅まきながらの入門編」としてみることにしよう。初回はKポップにフォーカスしたい。
Kポップがもはや、「
韓国や日本の若者の間だけでなく、世界的な現象」であることは、最近の報道で見聞きすることも少なくないはずだ。では、なぜそうしたことが起こるのか。
そこにはさまざまな要因が考えられはするが、筆者が感じるところによると、それは「
ヴォーカル」「
ラップ」「
ダンス」の3要素をまとめあげた本格的な
ダンス・ポップ・ソング、この完成度に尽きると思う。
今の御時世、
アメリカでもヨーロッパでも、この3つでここまで磨き上げた総合的なエンターテイメントは存在しない。まず、ここに魅せられる理由が存在し、そこにはじめて「
世界の美の基準を変えた」としばしば言われる、アジアン・アイドルとしての
ルックスの要素がプラス・アルファで加わっている。
そんな「
総合エンターテイメントとしてのKポップ」の最高峰が現在のところ
BTSであることは間違いない。アイドルの次元を遥かに超えた
3人の卓越したラッパーたちの鮮やかなマイク・リレーに、
タイプの全く異なる4人のヴォーカリストのカラフルな歌声と、そのケミストリー。
ストリートと伝統舞踊やバレエをミックスしたダンス。2013年にデビューした頃から唯一無二の圧倒的な個性を誇っていたBTSだったが、国際的に出世を果たしていくたびに、さらに進化を遂げている。
そんな彼らは、アジア的なポップ・ソングの域を超え、欧米ポップのメインストリームに絶妙に対応していった。
2018年の時点でアルバムは全米1位を記録。今年の2月には
米日英仏独の世界4大マーケットでアルバム1位を獲得。硬派な実力を持ちながらも、表向きには正統派アイドル的なキュートで親しみやすい印象、そしてグループ名の示すアルファベットの共通点などから「
韓国のビートルズ」などとも称されるほどにまでなっていた。
そんな延長線上に届けられたのが最新シングルの「
Dynamite」。この曲で初めて英語の楽曲を繰り出してきた彼らは、これまで「言語の違い」を理由に、
頑なにKポップの曲をかけなかったアメリカのラジオ局に遂に積極的に曲をかけさせることに成功。それがアジア勢による
坂本九以来の全米ナンバーワンを2週連続で飾ることにもつながった。