(Photo by Dino Lloyd/Gallo Images via Getty Images)
世界を襲っているコロナ危機でキューバの医療外交が注目を集めている。1960年代に誕生した医師や看護師を世界に派遣する「ビジネス」は現在キューバの重要な外貨獲得源となっている。例えば、2018年に医療団派遣によって獲得した外貨は85億ドル(9000億円)。それはキューバの輸出総額のほぼ半分近くを占めるようになっている。(参照:「
ABC」)
ところが、その陰には
キューバの医師や看護師が政府の犠牲になっていることはまだ十分に知られていない。それを示すかのように今月に入ってマドリードに本部を置くNGO組織「
Prisoners Defenders」がキューバ人医師400人を代表して国連に彼らがキューバ政府の奴隷となって働かされていることを訴えた。
例えば、彼らが外国に医療団のメンバーとして派遣されると、パスポートは取り上げられる。亡命しないようにさせるためである。
また、派遣されるのを拒否すると政府か本人そして彼の家族にまで報復処置が下すのは常なること。政府にとって彼らは重要な外貨獲得源である。というのも、彼らを派遣せねば外貨を得ることができなくなるという事情があるからだ。
ところが派遣された国からキューバ政府が受け取る外貨の3割程度しか彼らには支給されない。残りはすべて政府の歳入になっている。
劣悪な条件に反発して派遣されている最中に亡命した医師や看護師は5000人から1万人に及ぶと推察されている。この人数を正確に知ることができないのはそれを裏付ける統計が存在しないからである。一旦、亡命すると最低8年間は帰国できないことになっているが、永久に戻れなくなるというのが現実である。彼らが帰国して亡命した国の豊かさを国内で喧伝することは政府にとって都合が良くないからである。(参照:「
ABC」)