伊藤詩織・大坂なおみ両氏選出で話題のTIME誌「世界で最も影響力のある100人」。他にも注目したい人たち
世界で最も影響力のある100人」を発表した。今年はジャーナリストの伊藤詩織とテニスの大坂なおみも選ばれ、早くも日本で話題となっている。もちろん彼女たちの功績も素晴らしいものであると筆者は思うが、今回はあえて日本のメディアではあまり報道されていない各国の「時の人」を紹介したいと思う。
PIONEERとは、日本語で「先駆者」という意味である。すなわち、何か時代の先駆けとなることを成し遂げた人々が選ばれる部門と言えよう。筆者が個人的に気になったのは、Tomi Adeyemi(トミ・アデイェミ)とChase Strangio(チェイス・ストランジオ)だ。二人が残した功績を紹介する。
●Tomi Adeyemi(トミ・アデイェミ)
トミ・アデイェミはナイジェリア系アメリカ人の作家で、注目を集めている壮大なファンタジー「オリシャ戦記」シリーズの作者である。日本では今のところ「オリシャ戦記 血と骨の子」のみ翻訳されているが、ナイジェリアの神話と現代の世界を融合した斬新な本作はニューヨークタイムズのベストセラー小説にもなり、黒人版「ハリー・ポッター」「ナルニア国物語」シリーズとの呼び声も高い。
コメントを寄せた俳優のジョン・ボイエガは、「この小説に出てくるキャラクターは非常に人間的な問題を抱えている。物語内での社会的な主張や、魔法と抑圧の描写は私のナイジェリア人としてのアイデンティティや文化に語りかけるものだった」と語る。また、トミ氏を「アイディアの神様」と表現し、彼女の映画業界への貢献についても触れている。
●Chase Strangio(チェイス・ストランジオ)
チェイス・ストランジオはアメリカ自由人権協会の弁護士で、トランスジェンダーの権利活動家でもある。
性的指向に基づく差別によって仕事を辞めさせられたゲイ男性とトランスジェンダーの女性が起こした裁判でチェイスは弁護団の一員を務め、今年6月には「セクシュアリティや性的指向によって従業員を差別するのは違憲である」という最高裁判所の判決を勝ち取った。
俳優兼活動家のラバーン・コックスは、「チェイスは、法制度の混乱した矛盾と限界について明確に語り、同時に最も弱い人々を助けるために制度の力を行使している。現在、彼は史上最大のLGBTQ+の法的勝利に貢献した弁護士として称賛されている。彼が私の友達であることが誇らしい」とコメントした。
ARTISTS部門にはTHE WEEKENDやセレーナ・ゴメス、『パラサイト』でアカデミー賞を席巻したポン・ジュノ監督など日本でも人気のある著名人が選ばれたが、今回の記事ではHalsey(ホールジー)とYo-Yo Ma(ヨーヨー・マ)をピックアップしたい。
●Halsey(ホールジー)
ホールジーはアメリカのシンガーソングライターであり、日本の音楽好きの間ではかなり有名な部類と言っても良いのではないだろうか。そんなホールジーはバイセクシュアルであることを公言しており、VOGUEのインタビューでは「流動性を許さないなんて、この社会がいかに多様なジェンダーを受容することに消極的かという証左です。男は強くあるべき、というようなトキシック・マスキュリニティ(有害な男性性)の問題は、個人に多大な影響を与えますし、男性が女性のようにふるまうことを否定する考えには、本当に心が痛みます」と語っており、性的指向やジェンダーにおいて自由な立場を表明している。
今回コメントを寄せたのは「SUGA’s Interlude」や「Boy With Luv」でホールジーとコラボしてきたBTS。「ホールジーは驚くほど才能のあるアーティストであり、共に楽曲を作るにあたってすべてを誠実に捧げてくれる献身的なパートナーでもある。今後も彼女が世界になにをもたらすのか、見るのが楽しみだ」と語った。
●Yo-Yo Ma(ヨーヨー・マ)
世界的なチェリストであるヨーヨー・マ。今回の選出にあたって彼の紹介文を書いたのは、日本でもお馴染みのスティーヴィー・ワンダーだ。
「並外れた芸術家であり、真の音楽の天才でもある以上に、ヨーヨーマは愛と生命の証である。彼の音楽は、民族、地理、政治、階級、ジャンルといったあらゆる領域を超えたやさしい理解に包まれている。
チェロを通して彼が奏でる音は、聞くこと、感じること、気遣うこと、行動することを私たちに教えてくれる。彼の音楽は私たちを安全な場所へと導いているのだ。(中略)今年は、COVID-19の大流行の中で私たちがこれまで以上に音楽を必要としていることを認識し、彼はハッシュタグ#SongsOfComfortをつけてSNSにビデオパフォーマンスを投稿し始め、他の人々にも参加するよう促した。間もなく、ハッシュタグには多くのアーティストの演奏が掲載された」
Youtube上には、アメリカの公共ラジオ放送NPR(National Public Radio)が企画する「タイニー・デスク・(ホーム)・コンサート」にヨーヨー・マが出演し、クリス・シーリー、エドガー・メイヤー、ステュアート・ダンカンとそれぞれの自宅からリモート・セッションをした映像が公開されている。コロナウイルスが引き続き流行するこの殺伐とした世の中で、改めて音楽の素晴らしさを実感できるだろう。
米TIME誌が23日、「
“PIONEERS”部門
“ARTISTS”部門
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