なぜ韓国作品の日本版タイトルやポスターは「ああなる」のか? 残念過ぎる「改変」の主犯とは
最近SNSで、「韓流ドラマが日本に来るとこうなる」というハッシュタグが密かに盛り上がりを見せている。韓流ドラマが日本に上陸すると、作品の内容などおかまいなしに、何でもかんでもラブコメにされてしまう傾向がある。それが韓流ドラマファンの間で話題になっているのだ。
ポスターの背景はお決まりのピンクにされ、これでもかとキラキラさせられた結果、非常に安っぽくなり、韓国版の面影すら残らない、どれも似通ったポスターになってしまっている。
まず紹介したいのが、日本でも話題を呼んだ『新感染』(2016)だ。
原題は『부산행(釜山行き)』という極めてシンプルなものである。ソウル発釜山行きの高速鉄道KTXの車内で起こる感染爆発、凶暴化する感染者たちから生き残り、目的地に生きて辿り着けるのか、というストーリーを、余計な情報や先入観を与えることなく、端的に伝えているタイトルとなっている。
邦題の「新感染」は、日本の“新幹線”とかけているのであろうが、そもそも舞台となっているKTXは高速鉄道であり、新幹線とは少し違うものなので、韓国通の視聴者の中には違和感を覚えた人も多いのではないだろうか。このように韓国映画が日本に来ると、原題と全く変わってしまうものが多々ある。
ポスターデザインも変更されている。この作品は確かにゾンビもの、サバイブものでもあるが、ただそれだけではなく、愛する者を命がけで守ろうとする登場人物たちの姿を描いている。人間ドラマとして作品に深みを持たせることで、他のゾンビ映画と差をつけた作品だ。
そこを踏まえた上で、どちらのポスターが作品の内容を的確に、効果的に伝えているかといえば、どうしても韓国版であると言わざるを得ない。
日本版のポスターでは列車やヘリコプターが中央に大きく描かれ、ただのサバイブもののような印象を受けるのに対して、韓国版ポスターでは中央に娘をしっかりと抱きしめる主人公の姿が描かれているからだ。
2013年公開の『傷だらけのふたり』については、『남자가 사랑할 때(男が愛する時)』という原題が完全に改変されてしまっている。
日本版ポスターには主人公ハン・テイル(ファン・ジョンミン)と、ヒロイン、チュ・ホンジョン(ハン・ヘジン)の“ふたり”が写っており、タイトルでも”ふたり”と言ってしまうことで、主人公が誰なのかぼけてしまっている。
しかし本作は、今まで愛を知らなかった借金取りの男・テイルが、一人の女性を愛する時、人生を見つめ直していく、ということが主題なのだ。
更に、韓国版のポスターの題字は、主演のファン・ジョンミンの直筆であり、主人公の性格を反映させたような力強さを感じるが、日本版のポスターにはそのテイストが残っていない。
これでは視聴者に誤ったイメージを与え、キラキラしたラブコメが苦手な視聴者は見る気にすらならず、ターゲットはほんの一握りの視聴者に限定されてしまう。タイトルやポスターにはそれだけの力があるのだ。 残念ながら、タイトルやポスターが日本に来るとダサくなるのはドラマだけではない。韓国映画も日本に来るとタイトルとポスターがダサくなってしまうのだ。こんなにTwitterで騒がれてるのに相変わらず🤦♀️
— そ ら (@225_seola) September 1, 2020
みんなでそろそろ訴えませんか? pic.twitter.com/gC77CoJyZT
「感染」と「新幹線」をかけたのはわかるが……
主人公がぼやけるタイトルの改変
ハッシュタグ