失敗が相次ぐオンラインでの交渉。成功率を大きく上げる「自己開示」の黄金比とは
コロナの影響でリモートワークが積極的に導入され、私たちの働き方が大きく変わった。例えば、これまでは人が集まって対面で行うことが重要視されていた打ち合わせや交渉も、Zoomなどのオンラインツールを使って行われるようになった。
しかし、便利になった一方、変化によってまだ対応できていない不自由さも存在する。
ビジネスでの交渉が対面からリモートに変わってコミュニケーションの不自由さを感じている方は多いのではないだろうか。私も、実際にZoomなどを使ってリモート会議や交渉を行うことがあるが、リモート会議ならではのコミュニケーションの違和感と不自由さを感じる。例えば、相手の感情を掴みづらい、会話の間が取りづらい、非言語コミュニケーションが取れないなどだ。
それによって、営業の成績が下がった人も多いはずだ。そこで今回は、リモートワークによって発生している交渉の成功率を下げている、ある要因と対策についてご紹介する。
ビジネスにおいて対面での交渉から、オンラインでの交渉に変わって、交渉の場がより業務的になったことを感じた人は多いのではないだろうか。以前であれば、打ち合わせの前に気軽に雑談などをしていたが、時間通りに全員が集まって、淡々と業務的に会議が進められることが多くなったはずだ。
またリモート会議によって、人間の前頭葉が機能が低下して共感力が下がってしまっていることも原因と考えられる。詳しくは過去の記事をご覧いただきたい。
Zoomなどは仕組み上、一人が発言すると全員が巻き込まれてしまうので、気軽に雑談がしづらくなってしまった。オンライン(紹介する研究ではEメール)での交渉では、お互いの個人的な情報を交換して自己開示を行う率が低いため、交渉が不調に終わりやすいということがわかっている。今回、紹介する研究はEメールでの交渉を取り上げているが、リモート会議での雑談が減ったことで、本研究と同じ状況になりつつある。
その研究とは、行動科学者ドン・ムーアらが事前に交渉とは無関係な話題について会話をすることで、この問題が解決できるのではないかという仮説を立てて、その仮説を検証したものだ。
グループAでは単に交渉(Eメールで)だけを行い、グループBでは交渉相手の写真や個人的な情報を提供して、交渉前にお互いを知り合う時間をとってから交渉(Eメールで)が行われた。
その結果、グループAでは29%が合意に達することができなかった一方、グループBではわずか6%しか交渉は決別しなかった。また、それぞれのグループの取引金額の合計はグループBのほうが18%も高かった。
リモートでは困難な交渉
ビジネスに大きく影響する自己開示
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