繁忙期なのに街がガラ空き。感染者再増加のスぺイン第3の都市バレンシア、衝撃の光景
RTVE」、「La Vanguardia」)
特に、スペインにとって深刻なのはコロナの新規感染者がこれからさらに増加する可能性を秘めており、全国レベルで再封鎖が実施されるかもしれないという恐れがある。それ以外に、この新規感染者の増加によって期待されていた景気回復の見込みは完全に断たれたということである。
スペイン経済の65%はサービス産業に依存しているということ。その中でも観光業が大きなウエイトを占めている。何しろ、スペインGDPの12%を担っている。これほど大きな割合を占めている産業は他にはない。
年間で外国から8300万人がスペインを訪問し、世界でフランスに次ぐ第2位の観光国となっている。昨年比ではフランスとのこの差は僅か500万人というところまで迫っていた。
ところが、今年はコロナ感染で外国からの訪問者は急降下している。しかも、それを助長するかのように、先ずノルウェーはスペインからの入国者は2週間隔離することが義務付けられた。更に、26日には英国も同様の手段を取り、それを守らなかった旅行者には罰金として1000ユーロ(12万円)が課せられことになった。即ち、英国の観光者にスペイン訪問は辞退せよという勧告に匹敵する決定である。(参照:「El Pais」)
また、フランスは当初スペインとの国境を封鎖するという意向を表明していたが、最終的にはスペインを訪問しないようにと勧めることだけにした。それだけでもフランスからの観光客が減るのは必至である。
英国とフランス、それにドイツを加えた3か国はスペインへの訪問客の3本柱になっている国である。その内の2か国がスペインへの訪問を控えるようにという手段を取ったことはスペインの観光業にとって致命的な打撃である。
しかも、一般に外国からのスペイン訪問を望んでいる観光者にとって新規感染者が一番多いカタルーニャとそれほどでもないそれ以外の地方との区別がつかないということもスペインへの訪問者が激減する理由となっている。
筆者は7月25日にバレンシア市内を訪問した。勿論、マスクを着用しての訪問だ。
バレンシアはマドリード、バルセロナに次ぐ第3の都市で、日本人ツーリストにはそこまで知名度は高くないが、大聖堂などの歴史的建造物やビーチもあり、特に今の季節は観光客も多い街だ。しかし、いざ市内に出てみると、観光客の人影は殆ど見かけなかった。大聖堂の前のレイナ広場の両側にあるレストランは観光客でいつも埋まっているが、多くのテーブルで空席が目立った。またこの広場にある土産物店も閉まっているところもあった。中国人が経営している土産物店はコロナは関係ないといった感じで勿論開いていた。また、その広場に繋がっている市庁舎広場から始まる通りの両側にあるレストランでもシャッターを下ろしているところが数軒あった。
僅かに見かけた外人観光客はリュックを背負っていた若い女性二人だった。若者はコロナは関係ないという感じで、ホテルから出たところかあるいはこれから宿泊するホテルに向かっていたのかもしれない。ホテルといえば閉まっているホテルもあった。7月と8月は観光ビジネスにとって最も稼ぎ時である。にもかかわらず店を閉めるというのは非常につらい決断であるが、何しろ訪問客がいないのであるから、開けておく方が人件費や光熱費更に加え家賃の支払いなどで結局赤字経営を迫られることになるから閉めておく方が賢明の策となるわけで仕方ないのかもしれないがあまりにも寂しい光景だ。
スペインで3か月続いた完全封鎖が6月21日に解除されてから、新規の感染者が増えている。全国369か所でその再発が確認されているが、新規の感染者は現在まで2万人余りとなっている。特にその中でも新規の感染者が一番多いカタルーニャ州では今月26日だけで感染者は1493人となり、カタルーニャでの全感染者は8万9727人となった。これでコロナが発生してからスペイン全国で27万5000人が感染者となっている。(参照:「新規感染者数再増加で絶たれた景気回復
観光客が激減したバレンシアの現在
1
2
ハッシュタグ