日本にタピオカティを持ち込んだのは台湾人歌手だった! ブーム前夜、「日の目を見る前のタピオカ」

タピオカ 2018年末から2019年にかけて、一大ブームを巻き起こしたタピオカ(タピオカティ)。インスタ映えすると中高生の間で話題になったことで、瞬く間に全国に広がった。本場台湾からタピオカを持ち込んだ女性が、ブーム前夜を振り返る。

「こんな美味しい飲み物があったなんて驚き!」という声の連続

「2016年当時は、タピオカの存在を誰も知らなかったです。私が、キッチンカーでタピオカを販売すると、多い時で1日500杯は売れました。買ってくれた人は、『こんな飲み物は初めて飲んだ』『こんなに美味しいものがあったなんて。独特の食感がたまらない!』と絶賛してくれる人がたくさんいました。まだまだ日本にタピオカは浸透していなかったです」  こう語るのは、台湾出身の歌手であるアリス・チェン氏。2008年、日本人の男性との結婚を機に日本に移住することになった。2015年までは、専業主婦として過ごしていたが、離婚を機に、自分のやりたいことをやろうと思うようになったアリス氏。大好きだったタピオカを日本で販売するようになってからも、苦労の連続だったようだ。 「朝5時から深夜まで仕込みと販売を繰り返す日々でした。私一人で、調理、清掃、片付けなどをし、自分を信じて、忍耐強く努力をしていました。ただ、出店した当初は、お客さんはほとんどおらず、隣の別のキッチンカーには、行列ができていて、悔しい思いをしました。何度もキッチンカーの中で泣いていました。それでも、『無料で一杯いかがでしょうか』などと手売りを繰り返したことで、徐々に認知度が上がり、大型キッチンカーイベントに呼んでもらえるようになりました」

キャリアウーマンだった台湾人歌手時代

 日本に来る前のアリス氏は、台湾の大手生命保険会社で営業マネージャーをしていたバリバリのキャリアウーマン。本業以外にも、ホテルのラウンジや結婚式場で18歳からやっている歌手活動をしていたようだ。当時からタピオカは大好きだったとか。 タピオカ 「台湾にいる時は、アメリカと台湾を行き来して、仕事をしていました。当時は、かなりお金を稼いでいたので、20代ながらセレブ生活を満喫していました。台湾では、タピオカは、日本でいうコーヒーのような感覚で、日常的に飲むものでした。なので、私はお店でわざわざ買うのではなく、自前で作っていました。自前のタピオカを会社で配ると、みんな『美味しい!!お店で販売されているのと同じ味だよ』と太鼓判を教えてくれました。当時からタピオカの味は研究していましたので、その感想は嬉しかったです」  そんなアリス氏は、まさか自分がタピオカ屋を日本でやることになるとは、思いもよらなかったようだ。
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人気が出すぎて過労で倒れる
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