レジ袋有料化、最前線では何が起きていた? コンビニ店員に聞いてみた
今年7月1日よりプラスチック製買い物袋の有料化がスタートした。ただでさえ多岐にわたるコンビニのレジ業務に加え、今年はコロナ禍の影響も大きい。当初は混乱が予想されたが、果たして……!? 騒動の舞台裏に迫った。
近年、プラスチックゴミの海洋流出による資源・環境問題が世界的課題になっている。そこで、プラスチック資源循環戦略の一環として打ち出され、省令改正によって必須となったのが、「レジ袋の有料化」だ。レジといえば、マスクやアルコールの入荷を巡り、客がドラッグストアの店員を怒鳴りつける、いわゆるカスハラ(カスタマーハラスメント)が記憶に新しい。では、業務内容が多岐にわたるコンビニのレジでは、一波乱起きているのでは? まずは、利用者に聞き込みを行った。
<対象外となるプラスチック製買い物袋>
・持ち手がなく、袋の中身が景品や試供品
・福袋のように袋が商品の一部であるもの
・プラスチックの厚さが50マイクロメートル以上
・海洋生分解性プラスチックの配合率100%
・バイオマス素材の配合率25%以上
さすが、「コンビニなら週5で通っている」という人も珍しくないほど身近な存在なだけに、短時間で多くの声が集まった。
「『レジ袋はいるけれどカネは払わん』とゴネる老人を見た」「『有料化? 知らん!』と言い放つオヤジがいた」といった目撃情報から、「なぜか温かい弁当を入れてもらう茶色い袋だけは無料でもらえると思い込んでいた」という勘違い派まで。恥ずかしそうに、「酒やつまみをたんまり買い込んで、袋1枚で足りるかと思ったらはみ出てしまい、追加で1枚袋を買った」と目測違いを告白する向きもいた。なかには、「戸外で弁当を食べ終わり、いざ捨てようと思ったらゴミ袋がないので焦った」といった、いかに日々レジ袋に頼っていたか(!?)がわかるエピソードまでさまざま。
では、当のレジ担当者はレジ袋有料化初日をどんな思いで迎えたのだろう? 神奈川在住、コンビニ歴8年の遠藤道子さん(仮名)に話を聞いた。
「有料化前夜は、レジ袋のいる・いらない、購入した商品をお客さまがマイバッグに入れるのかどうかなど、聞くこと・やることが増えるので、朝昼の混雑時はどうなるのかな?と不安しかありませんでした」
実際は思った以上の混乱はなかったそうだが、全く問題がなかったわけではない。
「なかには汚れたマイバッグを持ってこられる方もいます。先日はお客さまがエコバッグを広げた瞬間、強烈な匂いが……。何かと思ったら、なかに玉ねぎの皮が入っていて、その周辺に白いカビがびっしり。正直、ここにお弁当やコロッケを入れても大丈夫だろうか?と思いましたが、入れてほしいと言われたので従いました。新型コロナウイルスも心配ですし、できればスーパーにあるようなサッカー台(作業用カウンター)を置いてもらって、お客さまには自分で袋詰めをしてもらいたいですね」
と、遠藤さん。これから夏に向けて、汚れたマイバッグに触りたくない気持ちはよくわかる。利用者側としてもレジ袋は複数枚用意し、適宜、洗濯しながら使いたいもの。『死都調布』シリーズなどの著書があり、都内コンビニバイト歴7年の漫画家・斎藤潤一郎さんもレジ袋有料化を憂慮していたひとりだ。
「いざ始まってみると、そんなに面倒はないですね。ただ、思った以上に袋はいらないって人が多い。この間、ドーナツとカップ麺とおにぎり2つとサラダを買った人がいて、カバンもマイバッグも持っていなかったから、『これは絶対に袋が必要だろう』と、聞かずにレジに打ち込もうとしたら、『袋いらないです!』って言われて。どうするのかと思ったら両手で抱えて持って帰りました。おそらく、クルマで来ていたんだと思いますけど」
女性はマイバッグ持参率が高いため、有料レジ袋を辞退する向きが多いが、男性の辞退者にはこんな理由が。しかし、3円をケチって駐車場でつまずきでもしたら3円の損害では済まない。もちろん例外もいる。
「奥さんが用意したのか、強面の男性が花柄のマイバッグを恥ずかしそうに持参してくるのは微笑ましいものがあります」(遠藤さん)
そのとき、レジ周りにはほっこりした空気が流れたに違いない。情景が浮かぶエピソードだ。
レジ袋有料化でやっぱり登場、モンスター客
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