まだ好調の米国株だがGAFAMには「死角」も。分散投資で狙うべき銘柄とは?

NASDAQ

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 新型コロナウイルスの感染拡大で世界経済が一気に冷え込むなか、米国株が堅調だ。グーグルやマイクロソフトなどGAFAM5社の時価総額合計は東証1部約2170社の合計を上回った。コロナ禍でも巨大化する米国株はなぜこんなに強いのか。コロナリスクを抑えて成長に便乗する投資術を紹介する
ナスダック市場

過去5年間の値動きを見ると、ナスダック市場の主力100銘柄で構成するナスダック100指数が、日本株のTOPIXはもちろん、米国を代表する株価指数であるS&P500をも凌駕していることがわかる

ハイテク株で資本を増やし高配当株で防衛を狙え!

 巨大IT企業の躍進には、テレワークと外出自粛で企業活動や生活のIT化とクラウド化が加速したことも背景にある。米国の代表的な株価指数であるS&P500や日本株のTOPIXと比べても、GAFAMなどで構成されるナスダック100指数の強さは一目瞭然。  米国株に詳しいモトリーフール・ジャパン加賀章弘氏は、「消費の行く先はモノからITに移っており、追い風を受けるGAFAMには乗っておきたい」としながらも、それだけに集中投資するのはリスクが高いと警戒する。感染の再拡大や二番底といった事態が起これば、下落余地も大きくなるからだ。

GAFAMの死角は分散投資でカバー

 米国株ブロガーのたぱぞう氏も、投資銘柄の本命はGAFAMとしながらも、その「死角」についてこう語る。 「企業買収を繰り返して巨大化するGAFAMはいずれも独占に近い状態にあり、いつ当局の規制が入ってもおかしくないでしょう」  そこで賢者たちの提案は、王道の巨大IT企業に加え、別の銘柄群にも分散投資することだ。楽天証券株式ストラテジストの松村梨加氏は、「感染再拡大リスクが残るなかでも事業内容が健全で、配当や自社株買いができる企業」をその対象に挙げる。
ポートフォリオはIT株を中心に

ナスダック主力の巨大IT銘柄を中心に、高配当株や成長期待株を組み合わせれば、安定した配当を受け取りながら資産の成長を狙える

「米国の上場企業には株主還元を重視する文化があり、株価を上げる効果のある自社株買いを実施したり、増配を続ける企業は多い。しかし、コロナ禍によって無配や減配を余儀なくされる企業も出てきています。こうした環境下でも、事業が堅調で株主還元ができる企業は、金利が低下するなかで投資家から特に好まれやすいでしょう」  こうした銘柄からコロナ禍でも安定した業績が期待できる銘柄に投資し、GAFAMと組み合わせれば、株価上昇と安定配当をWで狙う戦略になる。  余裕があれば、比較的小型の成長期待銘柄に資金を振り向ければ夢が広がる。他業種にも有望企業は多いのだ。 【加賀章弘氏】モトリーフール・ジャパン 外資系ファンドの株式アナリストを経てモトリーフール日本法人取締役に。オックスフォード大学金融経済学修士、MIT物流工学修士 【たぱぞう氏】米国株ブロガー ’00年に投資を始め、’19年に専業投資家に。著書に『お金が増える米国株超楽ちん投資術』『寝ながら稼げるグータラ投資術』 【松村梨加氏】楽天証券 岡三証券で日本株アナリスト、’14年からは米国株のストラテジストとして現地企業リサーチを担う。’18年より現職 ※株価などのデータは’20年6月3日時点のものです <取材・文/森田悦子 図版/大六印刷>