2000年前後に栄華を誇ったFlashの終焉。同時に失われるコンテンツに思いを馳せる

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今年の末にAdobeがFlash Playerの配布と更新を終了

 Adobe が、2017年に表明した通り、2020年の末で Flash を終了する。2020年末を過ぎると、Adobe のサイトから Flash Player のダウンロードは削除され、サポートも終了する。今年の後半になると、アンインストールを促すプロンプトも表示するそうだ。  また、Flash ベースのコンテンツは、サポート終了以降、実行がブロックされる。アップデートとセキュリティパッチも発行されない。つまり、重大な脆弱性があっても放置されるということだ。  こうした方針は2017年に宣言されており、3年間の猶予が設けられていた。サードパーティーが互換品を用意するかもしれないが、それは正規品ではない。非正規の互換品は、ウイルスやマルウェアが混入した製品かもしれない。今後、出てきたとしても利用は非常に慎重に検討した上で、可能な限り避けるべきだろう。  Flash 自体のシェアも激減している。Webサイトのクライアントサイドのプログラミング言語の使用率を見てみる。Flash は2011年には28.5%だったが、2020年の現在は2.6%になっている。逆に JavaScript は、2011年に88.4%だったのが2020年の現在は96.3%になっている(参照:W3Techs)。  Flash の寿命は終わった。そう考えて残り半年、脱 Flash に向けて粛々と作業を進めていくのが順当だ。

Flashの歴史

 Flash の歴史をたどっていこう。1993年、FutureWave Software という会社が誕生した。その会社では、FutureSplash Animator というソフトウェアが開発され、1996年に出荷された。同社は、Macromedia に買収され、ソフトは Macromedia Flash に改名される(参照:Digital Archaeology)。  1998年には Flash 3 のβ版が公開される(参照:INTERNET Watch)。また、Flash のファイルフォーマット「.swf(Shockwave Flash)」の仕様をオープンスタンダード化して、インターネット上のベクターデータの覇権を取ることを目指した。それだけでなくインタラクティブ性も強化された(参照:Macromedia)。2000年Flash 5 では、ActionScript が搭載され、プログラミング機能が強化される。Flash はアニメーションツールだけでなく、Web上のアプリケーションプラットフォームとしてWebの世界に広まっていくことになる。  この2000年前後に、Flash は全盛期を迎える。そして、2005年には、Macromedia が、Adobe Systems に約34億ドルで買収される(参照:ITmedia NEWS)。同年、JavaScript の力を世界に思い知らせた Google マップが公開される(参照:INTERNET Watch)。また、同じ年に Youtube が誕生する。同社は翌年の2006年に、16億5000万ドルの株式交換で Google に買収される(参照:コトバンクITmedia NEWS)。あとから振り返ってみると、Adobe は Flash の最盛期に、最も高い値段で Macromedia を買収したように感じる。  そして、2005年の2年後、2007年iPhone が発売される。そして、2010年には、Steve Jobs が、Flash をサポートしない理由を説明するメッセージを公開した(参照:マイナビニュース)。  パソコンとWebの進化に合わせて、そのリソースをフルに活用してきた Flash は、勃興し世界を支配しつつあったモバイルと相性が悪かった。また、一社による独占的な製品であるために嫌われた。この時期を潮目に、Flash の衰退は決定的になった。そして10年の月日が経ち、2020年の末に、Flash は世界から退場することになる。
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Flash文化が花開いた2000年前後
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