検察庁法改正を強行する与党議員へのキラーワードは「#対立候補に投票します」

与党議員を揺さぶるハッシュタグ「#対立候補に投票します」

投票イメージ#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグは、ツイート数が500万件を超える一大ムーブメントとなりました。  私がメディアコンサルタントの境治と行っているYouTube配信「メディア酔談」では、5月15日、このツイートを最初に始めた「笛美」さんをゲストに招き、リモート参加で話に加わってもらいました。  抗議の声が高まる中、与党は検察庁法改正案の採決を先送りしました。しかしまだ採決の構えは崩していません。「#検察庁法改正案に抗議します」だけでは与党議員への歯止めにならないようです。  そこで私は「メディア酔談」の中で、新たなハッシュタグとして「#対立候補に投票します」を提唱しました。これは与党議員に対し「もしも検察庁法改正に賛成するなら、次の選挙であなたの対立候補に投票しますよ」という意味です。この言葉は与党議員を揺さぶるキラーワードになり得ます。

もの言わぬ人々がものを語り出す時、世の中は変わる

安倍首相応援演説

昨年の参院選新潟選挙区で応援演説をする安倍首相(右)(写真/横田一)

 なぜ「#対立候補に投票します」という言葉が力を持つのでしょうか? それは、そうつぶやいた人が、次の選挙でほぼ確実に投票に行くからです。  自公がなぜ選挙に強いのか考えたことがありますか? それは強固な支持基盤を持つからです。しかしその人数は限られています。もの言わぬ人の方がはるかに多いのです。  その人たちの多くはこれまで投票に行かなかったでしょう。これまで選挙に行かなかった人たちが、こぞって次の選挙で投票に行って、与党の対立候補に投票する。これほど与党議員にとって恐怖なことはありません。  それは2009年の政権交代選挙で実証されています。それまで投票に行かなかった人が投票に行ったから投票率が上がった。その人たちが「世の中を変えたい」と期待して、野党・民主党(当時)に投票しました。  そして与党の自公現職議員がのきなみ討ち死にし、劇的な政権交代が実現しました。あれと同じです。だから「#対立候補に投票します」は力を持つのです。  その時の議席数の推移です。  自民 300議席→119議席(181減)  公明 31議席→21議席(10減)  民主 115議席→308議席(193増)  自民が半分以下に激減、民主が倍以上に激増してほぼ入れ替わっています。この選挙の時の自民党の首相は麻生太郎現財務大臣でした。  民主党は投票してくれた有権者の期待にこたえられませんでしたが、それはまた別の問題です。大切なのは「もの言わぬ人々がものを語り出す時、世の中は変わる」ということです。
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抗議の声より政治家が重んじるもの
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