コロナ禍のステイホームで夫によるモラハラ被害も激増! モラ男ではない「健全」な男性はいるのか?<モラ夫バスターな日々47>

弁護士・大貫憲介の「モラ夫バスターな日々<47>

「健全男子なんているんですか」 コロナで夫がステイホームし、モラが酷くなって相談に来た女性(40代)が尋ねた。私は、経験上、日本男性の8割はモラ夫/モラ夫予備軍と推測している。そこで、「男性の約2割は健全男子と思いますよ」と答えた。女性は「私の周りには、モラ男しかいません」とため息をついた。

リモートワークによりモラハラが激化

 女性は、学校に行けず体力が有り余っている低学年の子を公園に連れて行った。それが夫に「発覚」し、コロナが移ったらどうするんだと怒鳴られ、正座させられた。マスクや消毒液が買えないことも、「精神がたるんでいる」「(買えないなどの言い訳は)社会では通用しない」と併せて叱られた。  それ以降、買い物以外は外出していない。リモートワークのため夫が自宅で仕事をするので、女性も子どもも、夫に気を使い、息をひそめている。外に出れず、子どもも、女性自身も限界が近い。  夫のストレスもたまり、以前よりモラが酷くなった。こんな状態がいつまで続くのか、これ以上、この夫とは暮らせない、離婚しかないと思い詰めて、相談に来た。  しかし、その一方、将来に対する不安感も強い。逆説的だが、日本の男性全てがモラ男であれば、却って諦めもつく。その思いが、冒頭の質問になったのだろう。

「健全男子」にインタビューしてみた

 私は約2年前に、モラ夫の生態のツイートを始めたが、その頃より果たして本当に日本にモラ男ではない「健全男子」はどの程度いるのか、疑問を払拭し切れていなかった。ネットやニュースなどをみていると、日本はモラ男丸出しの男性だらけと絶望的な気持ちになる。しかし、健全男子はいるはずだ。  筆者と親しい、練馬区議の男性Iさん(40代前半)。妻もバリバリのキャリアの共働きであり、妻は最近、フルタイムの仕事の傍ら、国外の大学院に在籍し、英語で数百ページの博士論文を執筆、見事、博士号を獲得した。その間、家事、育児は彼が中心に行い、家族のお弁当作りが日課だという。  日本生まれ、日本育ちの彼が、なぜ、「健全男子」になったのか。どうしても知りたくなり、取材を申し込んだ。
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「母の犠牲の上に自分がある」という意識が、モラハラを防いだ
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