英語の民間試験が共通テストの代わりにならない理由とは? 入試改革検討会議の第6回目が開催。

英語テスト 4月23日15時~17時に第6回大学入試のあり方に関する検討会議が開かれました。新型コロナウィルスの影響のため、前回(4月14日)と同様に、WEB会議方式で開かれました。文科省にいたのは、萩生田大臣と三島座長です。一般傍聴はライブ配信によるもので、最大で320名弱の人が傍聴していました。今回は重要な会議でしたので、報告が少し長くなりますが、最後までお付き合いください。  今回の議題は次の通りです。 1.来年度大学入学者選抜における新型コロナウィルス感染症への対応状況 2.外部有識者・団体からのヒアリングについて 3.英語4技能評価及び記述式問題の実態調査の進め方について 4.委員からの意見発表 5.大学入試センターからの説明 6.自由討論

これまでの失敗に対し、前に動きだすための意見が出てきた。

まず、今回の会議の重要な点は、ここに来てようやく数学の記述式と英語の民間試験の活用について踏み込んだ意見が出てきたことです。なお、前回は国語の記述式については島田委員(筑波大学)から踏み込んだ意見がありました。 会議の様子 会議での発表は、資料が多ければよいわけではありませんし、大きな声で主張すればよいわけではありません。そして、発言の回数が多ければよいというものでもありません。これまでも、「得点だけで(学力が)測れるだろうか」「18歳で将来の道筋を決めていいものだろうか」など、間違ったことを言っているわけではないものの、遠いところをぼんやりと無難に周回して、目的地に向かおうとしない議論が多かっただけに、今回発表された中で特に清水委員(筑波大学)、渡部委員(上智大学)の意見は大変貴重なものでした。お二人は、穏やかな語り口調の中で、本質的にそして論理的に重要な点を多く指摘をされました。この二人を含めた委員の持ち時間は同じ10分ですが、その内容は濃く、ここでは紹介しきれませんが、ある程度まとめて後述します。

来年度の入試、コロナウイルスにどう対応する?

 議題1の前に萩生田大臣から大学入試に関して様々な角度から検討する(だから、経団連の意見も聞くのだそうです)ことと、いろいろなデータをオープンにするというこれまでの方針を確認するかのように述べられました。実際、今回文科省側が用意した資料として「大学入学者選抜関連基礎資料集」と称して140ページほどの貴重な資料が公開されました。 議題1:来年度大学入学者選抜における新型コロナウィルス感染症への対応状況について  事務局の方から「来年度の大学入試の状況」についての報告がありました。新型コロナウィルスの影響で休校となっている学校が多く、出席日数の不足や部活動での大会中止、各種検定試験の中止などがあり、令和3年度の総合型選抜(AO入試)や学校推薦型選抜(推薦入試)への影響があることが考えられます。受験者に不利益がないよう大学へ配慮を要請する点について、調整が整い次第周知する予定とのことです。 議題2:外部有識者・団体からのヒアリングについて  これは前回提案されたものに委員からの意見を反映させた修正案が示されました。今後は、この案に基づき座長及び副座長で相談し、個別にヒアリングの依頼を行うことで了承されました。 議題3:英語4技能評価及び記述式問題の実態調査の進め方について  資料2をもとに説明がありました。これは前回の会議において、これまでに文科省が用いていたデータが不十分であるという委員の指摘から、文科省で正確なデータをとりまとめてほしいとの要望があったことをうけて提案されたものです。7名の委員(川嶋委員、島田委員、清水委員、末冨委員、両角委員、渡部委員、柴田委員)の知見を活かしつつ調査を行っていく予定です。  これについては、匿名化を明記し、自由記載欄を設けてほしいという意見(小林委員)や、多面的な評価の在り方に関する協力者会議とも調整して実施してほしいという意見(川嶋委員)、教科レベルにブレイクダウンして見ることが大事という意見(清水委員)がありました。
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