ニューオータニ東京支配人の回答が首相答弁と食い違う
ホテルニューオータニ東京 全景
辻元清美議員が2月17日の衆院予算委員会で、「桜を見る会」の安倍晋三後援会主催の前夜祭が2013、2014年、2016年に開かれた「ANAインターコンチネンタルホテル東京」からの文書回答を示して安倍首相を追及し、首相の答弁の一部が虚偽ではないかと問題になっている。
筆者は2015年、2017年、2018年、2019年の4回にわたって前夜祭が開かれたホテルニューオータニ東京(東京都千代田区紀尾井町、清水肇・総支配人)に取材を申し入れたところ、複数の支配人が2月19日までに「どこのホテルも同じだと思うが、宴会の場合、見積書、明細書、領収証は必ず主催者にお渡しし、ホテルでも7年間保管している。契約相手から要請があれば今すぐお出しできる」などと断言した。
支配人の回答は、ANAホテル東京の辻元議員への「明細書を主催者側に発行しないケースはない」「宛先を空欄にした領収書を発行したケースはない」「個人から参加費を受け取ったことはない」などとする文書回答とほぼ同じだった。
安倍首相や菅義偉官房長官が「費用の明細書はホテル側から発行がなかった」見積書はもらっていない」「ニューオータニ側は、営業の秘密に関わるため明細書は出せないと言っている」と何度も答弁してきたが、首相に忖度していると思われてきたニューオータニの回答で、それが噓だとわかったのだ。
ニューオータニ東京支配人「1人5000円での宴会、パーティはお受けできない」
前夜祭が行われたニューオータニ「鶴の間」
ホテルニューオータニ東京は株式会社ニューオータニが運営する都内有数のホテル。ニューオータニの「鶴の間」では、2019年4月13日に開催された「桜を見る会」の前日である同年4月12日、安倍後援会主催の「桜を見る会前夜祭」が開催され、800人が参加した。
筆者は昨年11月中旬以降、ニューオータニに何度か取材依頼をしていたが、「マーケティング部の広報責任者が席を外している」という返答だけで、広報責任者からの質問への回答がなかった。
2月14日にニューオータニへ電話をかけ、再び広報責任者に取材を申し入れたところ、アシスタントマネージャー室に電話が回り、支配人(デューティマネージャー)の一人が「広報責任者がいま不在なので代わりにお答えする」と話した。
支配人は「守秘義務があり、個別の案件にはお答えできないので、あくまで一般論として、お答えする」と断った上で、「当ホテルでの宴会では、主催者との間で契約を結ぶので、その見積書、明細書、領収書は保管しており、契約の相手の方であると確認できれば、いつでも明細書、領収書をお渡しできる」と述べた。
また「契約の相手は主催者であり、パーティの参加者一人一人と契約し、各個人から料金をいただくことはない。当ホテルが、経営上・営業上の秘密を理由に明細書の提供をお断りすることはない。ホテルの収支は全て記録し、税務署に申告しなければならない」と話した。
支配人は「今でも、当事者の方から要請があれば明細書などはすぐに出せる」「ホテルが発行する領収書はすべてパソコンで作成しており、宛名が空欄の手書きの領収書を交付することは絶対にない」と強調した。
筆者は「私の友人と一緒に1人5000円会費で宴会を開きたいので予約できるか」と聞くと、支配人は「1人5000円での宴会、パーティは絶対にお受けできない。当ホテルでは1人1万1000円からになる」と答えた。