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20世紀初頭の経済大国、戦後8回のデフォルトをやった国。今もIMFへの負債返済と国債の債権者との償還延期交渉がうまく行かないとまたデフォルトに陥る可能性の強い国。
それはアルゼンチンのことだ。
そんなアルゼンチンに見切りをつけて、スポーツ関連商品の世界企業ナイキ(NIKE)同国市場から撤退することを検討しているという。
撤退の噂が浮上したのは、この24年もの間、ナイキが公式ユニフォームを提供してきたアルゼンチンの名門サッカーチーム、ボカ・ジュニオールズ(日本ではボカ・ジュニアーズと呼ばれているとの契約を、昨シーズンが最後としたことだ。
今シーズンからは、同チームにはアディダスが公式ユニフォームを提供している。契約金は1500万ドル(16億2000万円)。それに優勝すると優勝杯によって異なった金額のプレミアムが付くことになっている。
因みに、この契約金であるが、同じアディダスがレアル・マドリードと契約している金額はこの先12年間に最高16億ユーロ(1890億円)とされ、年間1億2000万ユーロ(142億円)はレアル・マドリードが受領することが保障されている。レアル・マドリードとボカ・ジュニオールズを同列に並べて比較することはできないが、一般にヨーロッパのサッカーチームの方が南米のそれよりも契約金はかなり高いとされている。(参照:「
MARCA」)
この10年余りのアルゼンチン経済は低迷している。ボカ・ジュニオールズの会長を務めた経験もあるマクリ前大統領が改革を誓って大統領になったが、彼の政権下で経済はさらに低迷し、インフレも50%を超えるまでになっていた。その影響からナイキの売上も落ち込んだ。
ナイキはアルゼンチン市場に20年以上も前に進出した。世界のサッカー王国のひとつで、人口4400万人のアルゼンチンはナイキにとっても良い市場になるはずであった。
ところが、最近2年間の極度のインフレが大きく影響して、ナイキのビジネスも危機的状況に陥っている。
しかも、昨年12月に新大統領に就任したアルベルト・フェルナンデスは外貨の外国への流出を防ぐべく、これまでナイキでも自動的に輸入が許可されていたのが、今後は輸入ライセンスが必要になっている。半製品を輸入して現地でアッセンブルする為には、これから輸入が規制されることになるのは都合がよくない。輸入するのにいちいちライセンスを申請するというのはビジネスに障壁を設けるようなものだ。国の経済事情によっては輸入ライセンスの許可が下りない可能性も今後は視野に入れておく必要がある。