個人でも簡単にできる「コインパーキング」経営
2015.03.05
不動産投資は何かとわかないことが多いもの。そこで物件選びの基本から融資、実際の投資先に至るまで、選択テーマを設定。どっちを選ぶのが得なのか、識者や現役投資家に話を聞いた。
不動産投資には、さまざまなスタイルがある。主流はアパートなど物件を取得して家賃収入を得る賃貸経営だが、物件を取得せずに収入を得ることも可能。その方法のひとつが駐車場経営だ。
「私は“コインパーキング”を経営しています。街中でよく見かける『10分200円』『1日最大1200円』とかの看板を掲げた、いわゆる時間貸しの無人駐車場がそれ。コインパーキングはいろんな会社が経営していますが、個人でも簡単に経営できるんです」
とはスッチー大家こと上原ちづる氏。現在、3か所のコインパーキングを運営し、年間の売り上げは1200万円と語る。
「この売り上げは2か所のみ。1か所はオープンしたばかりなので省きました。第1号は2006年に開始した100坪12台分で、売り上げ780万円から経費を差し引いた利益は年約382万円。第2号は2013年に開始した50坪8台分で、売り上げ420万円に対して利益は年約376万円(ローン返済別途)。2か所合わせて利回り約16%になっています」
数字としては地方の中古アパート並みの高利回り。魅力を感じるだろう。
「僕もコインパーキング経営を考えています。賃貸経営より圧倒的に運営がラクなイメージですからね」(サラリーマン大家の森井雄一氏)
上原氏はコインパーキングのほか、戸建てやアパートも所有している。手間やコスト面など、賃貸経営と比べてどうなのか。
「コインパーキングは土地を購入して機械を設置したら、あとはほったらかしでOKなんです。一方の賃貸物件は土地+建物を購入し、空室になったらリフォーム代がかかり、大規模修繕もやらなきゃいけない。コインパーキングのほうが運営に手間はかからず、コスト的にも安くすみます」
加えて、建物がなく土地だけなので、地震などの災害リスクにも強いそうだ。
気になるのは初期投資。ある程度のお金がかかるのでは?
「必要なのは土地購入と機械設備の資金です。お金があまりなければ、土地を借りて、機械もリースですませる手もありますよ。私自身、第1号のコインパーキングは借地での運営。地代と機械のリース代、業者への保守管理費用を支払っても、手元に十分残ります」
第2号は土地を購入したものの、資金は日本政策金融公庫からの融資で調達できたという。
「第2号は機械設備も購入しました。公庫では、コインパーキングの土地費用だけでなく、機器類の融資も相談に乗ってもらえます」
では、マイナス面はないのか。
「賃貸物件は空室率などでニーズをつかみやすいですが、自動車の場合はその判断が難しい。安定性では賃貸経営が勝ると思います。コインパーキングに挑戦するなら、賃貸物件以上に立地を見極めなければいけません」(不動産投資コンサルタントの午堂登紀雄氏)
上原氏もコインパーキングの土地探しが一番のキモになると明言する。
「最適なのは、人が集まるところです。駅前や商店街などの商業地域はもちろん、学校や病院、大型マンションの近くなど、周辺に駐車場が少なければ必ずしも駅前でなくとも需要は見込めるんです。私が運営する1号、2号は千葉にあり、これらの立地に該当しています」
肝心の業者はネットで探せるそうだ。
「『コインパーキング』というキーワードで検索すると、たくさんヒットしますよ。業者によっては機器類の販売やリースだけでなく、工事や設置まで請け負ってくれるので、複数の会社で見積もりをとるのがおススメです」
コインパーキングは将来その場所にアパートを建てて賃貸経営に転換することも可能。まずはコインパーキング経営でひと稼ぎがいいかも。
【上原ちづる氏】
スッチー大家。元キャビンアテンダントで3人の子持ちママ。アパート3棟28戸、戸建て賃貸3戸のほか、コインパーキング3か所計28台を運営する。初の著書が話題沸騰中
【森井雄一氏】
30代サラリーマン大家。2013年9月に本格的に不動産投資を開始。ハイスピードで物件を取得し、1年でキャッシュフローが月100万円突破。現在、アパート9棟72室を運営
【午堂登紀雄氏】
不動産投資コンサルタント。プレミアム・インベストメント&パートナーズ代表。自身でも不動産投資を行い、国内・海外に複数の物件を所有。不動産資産は約5億円。著書多数
― 不動産投資「どっちがお得?」【8】 ―
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