ランダム度が高まる為替市場で、「無駄撃ち」は減らせるか? 10万部超のFX本の著者、田畑昇人氏に聞く

 ’15年、大学院在学時に出版した『東大院生が考えたスマートフォンFX』が累計10万部を超えるベストセラーとなった田畑昇人氏。相場が動きやすい時間帯に着目し、個人投資家が保有するポジションを「オアンダ」で確認するなど、独自のメソッドを解説した内容は高い評価を得ており、いまだ版を重ねている。
田畑昇人氏

田畑昇人氏

 そんな彼のトレード手法は現在進行系でアップデートされ続け、新しい“武器”も加わり、新たに『武器としてのFX』を上梓したばかりの田畑氏に、新しいトレード手法のエッセンスを聞いた。

年々高まる為替市場のランダム性

「為替市場は残酷なほどにランダムウォークです。これは、上下どちらに動くかを予想するのはコイントスと同じで予測できない状態ということ。まぐれ当たりはあっても100%予想することは不可能です。しかも為替市場のランダム度は、HFT(ハイフリークエンシートレード。超高頻度取引)やアルゴリズムトレードの影響で、年々高まっている。そんな市場で闇雲に取引しても、資金を減らすだけです」  難易度が高まる市場で闘っていくには、どうすればよいのか。彼の考え方はシンプルだ。 「ランダムウォークしている時間を捨てることです。ランダム度が高まっているとはいえ、市場は“完全に”ランダムなわけではありません。何らかの理由で『非効率性』が高まった状態になることもある。そこを狙えばいい」

狙うべきは「非効率性」が高まる場面

 非効率性とはなにか? 「わかりやすい例で言えばブレグジットです。国民投票でブレグジットが決まると、ポンドを売らざるを得ない投資家が発生しました。イギリスで発生した収益を確保したい多国籍企業であったり、ポンド建ての資産を減らしたくない投資家などです。彼らは『いくらでもいいからポンドを売りたい』と考えるため、為替レートが非効率な状態になる」  株式投資でも大きな悪材料が出ると同様のことが起きる。「倒産する前に売りたい。株価はいくらでもいい」と投資家が総投げするような状態だ。
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為替市場の15%を狙えば無駄打ちを減らせる
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武器としてのFX

ベストセラーとなった「東大院生が考えたスマートフォンFX」の著者が
たどり着いた答えは、VIX指数だった。
相場の恐怖感を表すこの指標をいったいどのようにトレードに生かすのか。
初心者~中級者向けだった前著より一歩踏み込んだアップデート版は、
タイトル通りすべてのトレーダーの武器となるだろう。