寒さが本格化する福島県いわき市の台風19号被災地で、タカ大丸が痛感した「水害」被災からの復旧の厄介さ
千葉の台風被害以来、ボランティア活動に精力的に参加しているタカ大丸氏。館山、長野、茨城に続き、厳しい冬を迎えることになる福島県はいわきの被災地に向かうことになり、前回はその道中に考えた「ボランティアがもっと集まるようになるための案」を寄稿してくれた。
今回はいよいよ、いわきでのボランティア活動が始まる。
11月2日、八時過ぎに駅前の宿所を出たボランティア団体「つながり」一同は、車で十分程度の拠点「エステーサトー商会」に移動する。諸々の機材を置き、朝礼・終礼などもここで行う。ここで筆者は三人一組のチームに加わり、民家の家財道具の片づけを担当することとなった。
現場は拠点からさらに車で十分ほど離れた場所にある。家の外に廃棄処分のものが山積みされているが、これを集積所に持っていくわけだ。分別はまだ終わっていない。
するとどうなるか。我々三人が集めてトラックに載せて集積所に行くわけだが、問題はこの集積所も家から車で15分かかるということだ。つまり、少なくとも往復の30分、実際には廃棄作業の時間も入れると約40分から50分、ここが手つかずになってしまい作業に無駄なロスが出てしまうのだ。そこで我々三人は話し合い、一度集積を終えて移動する最中に本部に電話を入れ、追加の人員を送ってもらうことになった。
いわきは駅がある市街地を少し外れると、一気に山間となる。今回の被害が出たのがまさにその辺りなわけだが、したがって平地そのものが少なく廃棄物集積所にできる広場の候補地が非常に限られてしまうということだ。同じ町内会の自治会館前駐車場を集積場にできた館山とはそこが決定的に違う。トルストイが言う通り、「それぞれの地域にはそれぞれの苦悩がある」ということだ。よって、山の中にある「小川市民運動場」を使っている。普段ならソフトボール二面、軟式野球一面とれる広さがあるグラウンドである。
これだけ集積所が限られているため、いざ到着すると何台ものトラックが並び渋滞している。そこで形式上とはいえ書類に記入して、やっと廃棄ができるようになる。
広場全体に、それぞれ分別されて山になっているが、もはや高さは三階建てアパート分に達するのではないか。到底人手で積める量ではない。ユンボがなければどうにもならない。
長野もそうだった。かのリンゴ農園でコンテナ出しを行い、帰る途中に公園があるのだが、そこが廃棄物の集積場となっていた。普段なら、野球とまではいかないがソフトボールの試合くらいは十分できるスペースがあり、その上で遊具が並んでいるのだが、それが全部「ゴミ」で埋まってしまっている。どこの被災地でもそうだが、電力が戻りブルーシートを敷いて濡れた家財一式を処分しただけでは「復興」とはいえない。おそらく、こういう運動場でソフトボールの試合が再びできるようになるときが本当の「復興」なのである。
再び家に戻ると、新たな人が来てくれていて分別が進んでいた。集積所で分別しなければならないので、元々選り分けておくことは重要なのだ。作業効率は飛躍的に高まった。
新たにトラックへ積み荷を載せていくわけだが、ここで一番障壁となるのが「泥水」である。台風が過ぎて約二週間だが、現地住民の方々としてはダメになった家財を外に出すのが精いっぱいで、その後も雨が降った。ということはそれぞれの泥水に加えて雨水が混ざり、悪臭と重みを加えている。したがって、毎回たまっている泥水を出してからトラックに載せないと、トラックに無駄な重みが加わる上、載せられる荷物自体が減ってしまう。
山間部での被災は廃棄物集積所にも難儀する
泥水に浸った家財道具の厄介さ
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