一撃数千枚も可能な高射幸性機は人気機種でもある
FINEDESIGN_R / PIXTA(ピクスタ)
パチンコホールによる組合である全日本遊技事業協同組合連合会(以下、全日遊連)は、11月13日に開催された全国理事会において、高射幸性パチスロ遊技機の設置比率に関する自主規制期限の再設定を決議した。
国が推進するギャンブル等依存症対策の流れのなか、パチンコ業界は過去2万枚以上の出玉実績のある「高射幸性回胴式遊技機(パチスロ機)」の自主的な段階的撤去を決めていた。
その自主規制の内容とは、店舗のパチスロ設置台数に対しての高射幸性パチスロ遊技機の比率を――
① 2018年1月末までに30%
② 2019年1月末までに15%
③ 2020年1月末までに5%
④ 2021年1月末までに完全撤去
と段階的に削減し、最終的に撤去することを定めていた。
しかし2018年11月、全日遊連は、
②の「2019年1月末までに15%」という自主規制の目標を、代替機となる新規則機(2018年2月1日の改正遊技機等規則に沿って製作された遊技機)が市場に十分に出回っていないことを理由に「延期」しており、本年9月の全国理事会においても同様の理由で新たな期限を定めないとしていた。
結果、
全国のパチンコホールは設置比率30%までの高射幸性パチスロ機の設置が黙認される状況となっており、パチンコ業界が掲げている依存問題対策の足枷になっていた。
「延長」を苦々しく思っていた警察庁と業界側の着地点
このような状況で苦虫を噛んだのは、国策でもあるギャンブル等依存症対策を他の公営ギャンブルに先んじて推進したい警察庁であり、高射幸性パチスロ機の設置比率のパーセンテージとその期限に関しては、全日遊連と警察行政との間で幾度も協議が行われた。
高射幸性パチスロ機はホールの収益の柱となっている主力機でもある。可能であれば、出来るだけ長く、出来るだけ多台数の設置を望む業界の思惑もある。本来であれば、2カ月後の「2020年1月末」までには5%まで引き下げなくてはならないものを、「新規則機が市場に供給されていない」ことを理由に、
あえて明確な数値と期限を切らずに乗り切りたかったのが業界側の本音であろう。
そのような背景を考える時、この度の全日遊連の全国理事会で決議した新たな目標期限
「2020年1月末までに15%」というのは、
明確なパーセンテージと期限を設定させたい警察行政と、少しでも多くの高射幸性パチスロ機の設置を勝ち取りたい業界側の思惑が一致した妥協点であるし、どちらかと言えば
パチンコ業界側が望む形での決着であったと分析できる。