山本太郎代表と主張を同じくする野党統一候補の松本顕治氏。
「誰一人取り残さない県政を」を旗印に掲げ、消費税増税やTPPにも反対する
ダブル大臣辞任と萩生田光一文科大臣「身の丈」発言による英語民間試験延期で野党が勢いづく中、首相主催「桜を見る会」招待問題(公職選挙法違反疑惑)が急浮上、安倍政権が揺らぎ始めた。
11月12日には、野党三党(立憲民主党・国民民主党・共産党)の追及チームが初会合。「選挙民への寄附を禁じた公職選挙法に安倍首相が違反している疑いがある」「内閣総辞職はもちろん議員辞職案件だ」と攻勢を強めるのに対し、安倍首相が一連の不祥事打開を狙って「桜疑惑解散」(枝野幸男・立憲民主党代表)に打って出る可能性が取り沙汰され出したのだ。
追い込まれた安倍政権へのさらなる一撃となるかも知れないと注目されているのが、「
高知県知事選(11月7日告示・24日投開票)」だ。
元総務省総括審議官で大阪府副知事も務めた
浜田省司候補(自公推薦)と、野党統一候補の
松本顕治氏(立民県連・国民県連・社民・共産推薦)の一騎打ちをする与野党激突の構図だ。
共産党県委員の松本氏は夏の参院選高知徳島選挙区(改選数1)でも野党統一候補として善戦、
高知では約11万票を獲得して自公推薦候補に約1万9千票差にまで迫っていた。
その実績を買われて県知事選出馬を要請されたため、「県知事選でも再び接戦となるのは確実。十分に勝機はある」と松本陣営関係者は意気込んでいるのだ。
一方、高知生まれの
キャリア官僚元総務省総括審議官の浜田省司氏は7月まで大阪府副知事を務めて
カジノとセットの大阪万博誘致に成功。第一声では中央とのパイプの太さをアピールしながら、所縁のある大阪万博を控えた関西の経済活力を引っ張ってくるとも訴えた。
高知県知事選の告示日の7日、自公推薦候補の浜田省司氏の応援に駆けつけた下村博文・元文科大臣
与党陣営の浜田候補の出陣式にはサプライズゲストと呼びたくなる応援弁士が登場した。
「
安倍”お友だち”と英語試験業者の蜜月」(「週刊文春」11月14日号・発売日は7日)と報じられたばかりの下村博文・元文科大臣(選対委員長)が駆け付けたのだ。
野党統一候補の松本氏は「よく来れたと思いました」と驚き、立憲民主党の黒岩宇洋衆院議員も「安倍政権のおごりの現れだ。
教育利権疑惑が報じられた下村氏が演説をしても票は減らないと高を括っているでしょう」と呆れた。「総理主催『桜を見る会』追及チーム」の初会合で「首相が公金で公的行事を私物化したのかについて事実を解明していく」と述べた黒岩氏は2日前の10日、高知市での野党合同街宣に駆け付け、地方に不利な英語民間試験を導入しようとした安倍政権を批判してもいたのだ。
この時点で野党は下村氏に照準を絞っていた。延期発表直後の11月4日、立憲民主党の枝野幸男代表は「
一番の原動力になったのは、下村元文部科学大臣ではないか」「
下村大臣当時の導入経緯が一番本質的な問題ではないか」(いわき市での囲み取材)と語っていたからだ。
高知県知事選の野党統一候補の松本顕治氏の合同街宣に駆けつけた黒岩宇洋衆院議員。下村博文・元文科大臣が応援に駆けつけたことについて聞くと、「安倍政権のおごりの証」と語った
しかし渦中の下村氏は自らが“
減票マシーン”となる恐れを全く気にしていなかった。出陣式後に直撃、まず「民間試験導入は地方切捨て、格差拡大につながらないか」と切り出すと、「つながらないですね。つながらないようにします」と回答。続いて「(献金を受けている)教育業者のための利権事業という指摘もある」とも聞いたが、下村氏は「全くありえない。ためにする話ですね。根拠もない」と否定した。そこで「民間試験導入が高知県知事選の争点になったら不利になるのではないか」と質問を続けたが、下村氏は「全然不利じゃない。全く不利じゃない」と強調したのだ。
ここでスタッフが「時間が来ました」と宣言、私との一対一の質疑応答は終了となったが、不思議なことに近くで待っていた番記者との囲み取材には下村氏は応じた。