ブラック上司の部下にありがちな「表情認識」2つの異常

清水建二の微表情学 第91回

ブラック上司イメージ

studiostoks / PIXTA(ピクスタ)

 微表情研究家の清水建二です。私は仕事柄、様々な企業の方々と仕事をさせて頂く機会があります。  そんなとき、「あれ?この人の上司はブラック上司?」と思われてくる場面があります。それは、怒り表情と熟考表情の違いを説明してもわからない、怒り表情を怖いと思わない、という表情認識の2つの「異常」を感じたときです。  怒り表情も熟考表情も共通して、「眉が中央に引き寄せられる」という動きを持っています。見た目としては、「眉間にしわが寄る」表情になります。この動きに加え、様々な表情筋が加わることもあるのですが、この「眉が中央に引き寄せられる」という動きだけが怒りや熟考に伴い生じることがあります。この場合、見た目として、怒っているのか考えているのかわからなくなります。 「うちの上司はいつも険しい顔して怖いんですよね。」という発言をよく耳にしますが、おおむね原因は眉間のしわが怒りなのか熟考なのか見分けられていないからだと思います。  それではどう見分ければよいのでしょうか。

眉が中央に引き寄せられる表情―怒り・熟考どっち?

眉が中央に引き寄せられる表情

眉が中央に引き寄せられる表情―怒り・熟考どっち?

 怒りなのか熟考なのか見分けるポイント、それは、スピードです。眉間にしわが現れている時間で怒りか熟考かを見分けることが出来ます。  通常の会話では、私たちは怒りを抱いても感情のままに振舞うことをためらうため、怒り感情が表情に出ることを抑制します。しかし、抑制しきれなかった怒りが微表情として生じます。したがって、眉間にしわが0.2秒~0.5秒現れたら怒りのサインの可能性が高いでしょう。  一方、通常の会話で、相手の話が理解出来ない、相手の意見と自分の意見とを比べたい、相手の発言内容を吟味したい、そんなとき熟考します。熟考は相手に隠す必要はなく、「ちょっとタイム」「話のペースダウン」ということを相手に伝えたいため、明確に現れます。したがって、眉間のしわが0.5秒以上現れたら熟考のシグナルの可能性が高いでしょう。
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「眉間のシワ」に怒り以外の可能性を見いだせない!?
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