統一教会(世界平和統一家庭連合)が今月始めに愛知県で開いた大規模イベント。来賓出席した政治家の人数は教団内で喧伝されていた約半数にとどまった。その理由として考えられるのが、同教団の問題に取り組む
全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)が全国会議員事務所に送った
要望書だ。
9月末に行われた全国弁連の会見では、要望書を送付するに至った理由が語られた他、同教団の韓鶴子総裁による北朝鮮訪問団に日本の国会議員を加える計画があることが暴露された。
北朝鮮へ日本の国会議員を連れて行く計画を持つ韓鶴子総裁(世界平和統一家庭連合のサイトPeaceTVより)
前稿で記したように統一教会のジャパンサミットに来賓出席した政治家は教団内部で喧伝されていた「日本から国会議員約20人」には遥かに及ばず、政界を引退した元議員や4万人大会の来賓議員を含めても10人程度にとどまった。
何故、吹聴していた人数より参加した国会議員が少なかったのか。実はこの週の初め、全国弁連から全ての国会議員の議員会館事務所に、ある要望書が届けられていた。それが冒頭で述べた要望書だ。
9月27日午後、都内で全国弁連の集会が開かれ、全国会議員に対し統一教会やその関連団体が開くイベントに参加しないよう求める要望書の提出が全会一致で採択、集会後の記者会見を経て同月30日、衆参全国会議員の事務所に届けられた。
「国会議員の先生方へ」と題された要望書には今回の愛知県での教団イベントについて「
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が勢力を誇示し政界への浸透策を推進するもの」との記載がある。
会見で同弁連の山口広事務局長(東京共同法律事務所)は、統一教会が
信者の人権を抑圧し違法な霊感商法的手段での資金獲得と韓国の教祖ファミリーへの献金送付を継続して行い1987年から2017年までの30年間で1200億円近い被害集計があること、単なる宗教団体ではなく反社会的行為を組織的に行ってきた団体であり、そんな団体のイベントに
政治家が賛同することはその活動にお墨付きを与えることになると指摘。
そして「
近年、政治家が統一教会と関係を持つ事例が多数報告されている。選挙活動のスタッフ、集票、資金援助、人的コネクション等、政治活動上の支援を期待しているのだろうが、政治家として褒められることではない」と連携していると見られかねない活動をひかえるよう要請した。また民事刑事両訴訟での判例を示し、同教団による偽装勧誘や苛烈な献金拠出、合同結婚式で渡韓した日本人女性信者の窮状等に言及、様々な問題が現在も続いていることを強調した。
「国民を代表すべき政治家が協力関係を持つべきではない。政治家の廉潔性の観点から当然のこと。特に与党の国会議員は政府において大臣や政務官という行政の一翼を担う立場であり、規制する側が規制される側と通じることになる、甚だ不適切な関係。自身の行動が及ぼす社会的影響に充分な注意を払うべき。許容されるべきでない団体と関係を持つことは政治家として社会に対しての背信行為であり、当選のためということで正当化できるものではない。私たち有権者としても、このような反社会的団体との関係を投票の際の検討材料とする」
全国集会後に会見を行う全国霊感商法対策弁護士連絡会(9月28日、都内)