ここ最近ニュースを賑わせている「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首。
7月の参院選で当選してから、マツコ・デラックスさんを使った炎上商法や、対談動画における「あほみたいに子どもを産む民族はとりあえず虐殺しよう、みたいな」発言、N国に所属していた議員に対する脅迫容疑で書類送検、さらにわずか2ヶ月ほどで参議院議員を辞職し、参議院埼玉選挙区補欠選挙への出馬など、話題には事欠かない。
過激な発言や炎上商法と呼ばれる手法に多くの批判が集まる一方、「N国がどのような政党なのか?」や「立花氏がどのような人物なのか?」などを知る人は少ない。そこで、
立花氏やN国を分析するために、立花氏のYouTubeチャンネルの動画1406本を、全て視聴することにした。第3弾ではN国党の戦略と、立花氏自身が新たな権力・既得権益になっていることについて分析していく。
立花氏やN国党がこれほどまで熱烈な支持を集めるようになった裏には、2つの戦略があったと私は考える。
1つ目は、
炎上商法だ。立花氏が「今の時代は、炎上商法を使わない人はむしろバカなんですよ」と語るように、N国は炎上商法を繰り返し、知名度を上げてきた。政見放送における過激なパフォーマンスや、自身を批判したマツコデラックスさんへ対する集団訴訟の提起、マツコさんの番組スポンサーである崎陽軒への不買運動など、数え切れないほどだ。
また、立花氏はただ単に過激な行動を取るのではなく、
噛み付く相手を品定めしている。2019年8月8日の動画内でマツコ・デラックスさんを「得たいの知れない物体」、東国原英夫さんを「元国会議員の薄毛」、デヴィ夫人を「愛人から側室になったババァ」、評論家の古谷経衡さんを「頭の悪いロン毛」呼ばわり。
そのうえで、
「マツコデラックスという物体はめちゃくちゃ数字を持っています。だから叩きます」と明言した。一方で、東国原氏は「過去の人で数字を持っていないから相手しない」。デヴィ夫人は「体を使ってですね、金持ちの男性から財産を相続したみたいなババアなんで相手しません」。古谷氏は「頭悪すぎます」と評し、この3人は数字を持っていないし、CMに出ていないので叩かないと明言した。
Youtuberから一般人まで、数多くの人々が炎上商法と批判されてきたが、それらは単に企画者のモラルや知性が欠如していたり、自らのコミュニティだけを見ていたため、意図せず炎上した場合が多い。炎上後も謝罪して幕切れというパターンがほとんどだ。一方で、立花氏は
効果的な標的を設定し、意図的に炎上を引き起こし、その後も謝罪ではなく開き直って誇らしげにしている。
これら立花氏の炎上商法をマーケティングの天才などと絶賛する人もいるが、多くの人に不快感を与え、それと引き換えに注目を集める手法は、決して褒められるべきものではなく、倫理や道徳といった価値観を破壊する行為だ。
これほど倫理や道徳を踏みにじった行為を平気でしてきた立花氏だが、NHKの受信料を払っていないことに関しては、動画(2018/11/28)内で「みなさん、守らなくてはいけないのは憲法や法律ではなく道徳、マナーです。こっちの方が優先なんですよ!」と発言していた。
全ての物事を自分の都合の良いように解釈し、Youtubeというほぼ支持者しか見ない場で、自らの行為に自らの言葉で免罪符を与える立花氏に、1400本を超える氏の動画を視聴しても全く共感を覚えなかった。
立花氏やN国党が支持を集めるようになった2つ目の理由は、
「権力・既得権益(政治家やNHK、マスコミなど)VS弱者」という構図を作り出したことだ。
立花氏は動画内で既得権益者のことを「ろくに仕事もせずにたくさんの給料を貰っている人」と定義し、政治家から電通、テレビ局、CMスポンサーまでを名指しして「既得権益者をぶっ壊す」と発言している。
立花氏のこの発言に、私も一種の高揚感を得た。おそらく「権力・既得権益VS弱者」という対立構図と、「既得権益者をぶっ壊す」というメッセージが、
社会へ対し大きな不満を抱いている多くの人に突き刺さり、参院選での勝利に繋がったことは確かだ。