特殊景品(大)
9月20日から、東京都内のパチンコ店で獲得出来る金(きん)賞品(いわゆる特殊景品)3種類のうち、0.3g賞品に限り、近隣のTUCショップでの買取価格が1500円から2500円に引き上げられた。金相場の高騰を受けての対応であり、過去に前例もある。
これは、色々と説明が必要な内容だ。
まずは東京都内における金賞品の流通システムについて。
パチンコ店に卸す金賞品を扱う問屋の組合を「
東京商業流通組合(略称:東商流)」と呼び、この東商流の委託を受け、組合員に卸す金賞品を、
東京ユニオンサーキュレーション株式会社が運営している
TUCショップが一般の人から買い取っている。法律上、パチンコ店は換金行為を禁じられていることから、このような形での「
三店方式」が成り立っているのだ。
ちなみに、この流通システムは東京都内に限られており、パチンコ店の「三店方式」については様々な議論があるなか、このシステムはとても合理的で完成度が高いと言える。
そもそもこの東京都の賞品流通システムは、暴力団との関りが色濃かった「換金システム」から、暴力団を排除するために考えられたものである。東京都の流通システム確立のために、身を危険に晒したパチンコ業界関係者も少なからずいたという話も聞くし、暴力団側からの脅迫や妨害行為もあったとも聞くが、それはまた別の機会に取り上げる。
実はパチンコ店で獲得出来る金賞品(特殊景品)の中身の金地金は、一般の貴金属店でも買い取ってくれる。
ただ、一般的な金相場よりTUCショップの方が
若干高値(市場価格の範囲内)で買い取ってくれるというだけのものだ。
逆に金相場が急騰すれば、価格が「固定」されているパチンコ店の金賞品よりも、一般の貴金属店の方が高く買い取ってくれる可能性が出てくることから、過去にも金相場の高騰に際して、金賞品の買取価格を引き上げたこともある。
次に、パチンコ店で獲得出来る金賞品について。
東京都内のほとんどのパチンコ店では、上記の流通システムで利用される金地金の賞品を、出玉に応じて獲得することが出来る。
基本的には、
1g賞品(大景品)、0.3g賞品(中景品)、0.1g(小景品)の3種類に分かれており、それぞれTUCショップでの買取価格は
5500円、1500円、1000円となっている。
この中景品の買取価格が1500円から2500円に跳ね上がった。ならば、他の賞品の買取価格は上げないのか?
今後、金相場が更に高騰するような事があれば、そのような対応もせざる得なくなるだろう。ちなみにこの原稿を書いている9月20日現在の金1gの買取価格は5500円前後となっており、関係者らはここが相場の天井であることを祈っていることだろう。