運動不足のデスクワーカーには「猫のものまね」が最適

猫

ここまで柔らかければ運動しても怪我しない(photo by mate2code)

 正月太りにはならなかったものの、休み中も結局寝てばかりで、仕事が始まったら今度は仕事に追われて運動どころではないというビジネスマンも少なくないだろう。  しかし、人は長時間座った状態でいるとそれだけでさまざまな健康上のリスクが増えることはよく知られた話。オーストラリアの研究では1日11時間以上座っている人は、座っている時間が4時間以下の人と比較すると3年後までの死亡リスクが4割近く高いことが明らかになっているし、その他の研究でも心臓病やガンのリスクを高めることまで言われている。  とはいえ、デスクワーク中心で今まで特に運動習慣もなかった人にとっては、運動不足解消のために何かしようと突然ジム通いを始めたり、ジョギングを始めても、逆に怪我や身体の痛みが出て長続きしない……なんてのもありがちな話。    果たして、超運動不足のデスクワーカーにとって、いったいどこから始めるべきか悩ましい問題なのだ。  そんな中、「動物の真似、特に猫の真似などをするだけでもいいんです!」というのは近畿大学生物理工学部人間工学科准教授で、数々の専門的なトレーニング関係の著作を持つ一方で、昨年末に運動初心者向けの『わんニャンたいそう』(ベースボール・マガジン社)を上梓した谷本道哉先生。 「ちゃんと継続してやれば確実に効果があるのが運動です。ただ、仕事で忙しかったりする人はなかなかできないと思うんです。でもそうやって身体を動かしていないと、どんどん体力が衰えていく悪循環に陥ります。そうなってくると、メタボや生活習慣病のリスクを増すだけでなく、身体の各部所の動きも悪くなってしまい、ますます動かない身体になってしまう。特に深刻なのは背骨の動きです。筋肉の伸びやすさで柔軟性を出している他の関節と違って、背骨周りの靭帯は一度硬くなってしまうと、柔軟性を取り戻すのが非常に難しくなります。体幹の骨格をなす背骨の硬直は肩こりや腰痛の要因にもなるし、運動不足の人がさまざまな箇所を怪我する原因にもなるんです」  そこで谷本先生が着目したのが「猫の動き」だったという。 「猫は柔軟でしなやかな動きで知られていますが、あの動きの大元が背骨の柔軟性によるものなんです。人間が猫の真似をして意味あるのか?と思うかもしれませんが、実は猫も人間も哺乳類なので骨格構造的には大きな差はありません。飼い猫がいる方は猫の動きを観察して頭の中でイメージしながらストレッチをすれば、それだけで運動不足の人にとっては効果的なんです」  そこで谷本先生の『わんニャンたいそう』から、超運動不足サラリーマンにもオススメの「猫をイメージするストレッチ」を3つほどチョイスしてもらった。 ●背中を中心に全身を反らせる
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(photo by Peter Mulligan)

 猫お馴染みのポーズ。これが彼らの柔軟性の秘訣!? ⇒【画像】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=19904 ●腰を中心に全身を反らせる
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(photo by Sherry's Rose Cottage)

 狭いところが好きな猫ならではの柔軟性 ⇒【画像】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=19907 ●体幹を中心に全身を横に曲げる ⇒【画像】はコチラ http://hbol.jp/?attachment_id=19910 ※各ストレッチとも伸びてる部分で10~20秒姿勢をキープ。呼吸を止めずに行う  さすがに、オフィスでは猫のように寝っ転がってストレッチをするのは無理だが、立ちながらでもできるバージョンならば問題ない。仕事中の休憩時にでも軽くやってみるのもいいし、子持ちならば休日に子どもと一緒に猫の真似をしてみるのもいい。こうして日々のストレッチを続けることから始めれば、無理なく運動不足を解消できるはずだ。 <取材・文/HBO取材班>
谷本道哉先生

谷本道哉先生

たにもとみちや●1972年、静岡県生まれ。大阪大学卒。東京大学大学院博士課程修了。博士(学術)。近畿大学生物理工学部人間工学科准教授。NHKニュース「おはよう日本」、フジテレビ「ホンマでっか!?TV」をはじめ、多くのメディアで筋力トレーニングや健康体操をわかりやすく解説している。近著に『わんニャンたいそう』(ベースボール・マガジン社)
わんニャンたいそう

犬や猫が大好きな人たちに贈る、人間のためのたのしい体操ブック