職場のいじめきっかけで中年引きこもりに。仕事に対する焦りは「もうない」

 この10年で少しずつではあるが、現状と課題が可視化されてきた引きこもり問題。引きこもり中年の実情に迫るべく、当事者たちの声を拾い、現状をリポートしていく。

週刊SPA!’13年4/2号の田中さんの記事。2年半の会社員時代の貯金は必要最小限しか手をつけておらず、今も100万円以上残っているとか

6年ぶりに取材再登場! あの引きこもり中年の今

 かつて週刊SPA!で取材した引きこもり中年たちは、現在どうしているのか? 今回、週刊SPA!’13年4月2日号の特集「35歳以上[無職・独身者]のリアル」に登場した田中啓太さん(仮名・現在43歳)に、再び話を聞くことができた。 「今も実家に住んでいて、仕事には就いていません。まあ、職探しもしていないので……」  もともと親の勧めもあって地方公務員を目指していたが、5年連続不採用で挫折。そのまま引きこもりとなり、32歳で一般企業に就職して社会復帰したかに思えたが、2年半で退社。これが田中さんにとっての唯一の職務経験だ。

本当は職場でいじめに遭っていた

少し殺風景な田中さんの部屋。もともと物欲がなく、節約のためにもモノを買わないとか

「前回の取材では『人間関係でいろいろあって……』と濁しましたけど、本当は職場でいじめに遭っていたんです。情けない話ですがそれで働くことが怖くなってしまって。両親はそんな私の心境を理解してくれていて、『働け!』とプレッシャーをかけてくることもありません。甘えていると言われたら返す言葉がありませんが……」  仕事に対する焦りは、40代に突入して、逆になくなったという。 「正社員というか普通に働くことを諦めました。未練がなくはないけど、気が楽になったのも事実です。家は私が相続できるし、節約すれば遺産でなんとか老後まで暮らせそうなので」

正社員を諦めたことで、見えを張る必要がなくなり楽になったという

「とりあえず自分は、人に迷惑はかけないようにしたいなあとは思っています」 <将来への展望> 正社員を目指すのは諦め、それを前提にした将来設計を模索中 ― 引きこもり中年の衝撃 ―