「身内優遇独裁政権」はここまで社会を壊す。ベネズエラ、4人に1人の幼児が栄養失調

 ユニセフによれば、320万人の子供が人道支援を必要としているという。また、カトリック教のNGO組織「カリタス」によると、ベネズエラでは5歳未満の子供の23%が栄養失調の状態にあるという。(参照:「La Gran Epoca」)

1日分の食料確保に5人家族で64か月分の給料!?

 ベネズエラの3つの大学が中心になって実施している生活条件調査(Encovi)によると、80%の家庭で食料が確保されない状態にあるという。また、89%の家庭で食料を購入するための収入不足にあるという。何しろ、物価上昇が凄まじいのである。家族用のフードバスケット(食料配給的なもの)は4月から5月の1か月で30%以上も上昇。1年間でなんと11万5865%という驚異的な価格上昇を見せているのだ。  そのため、5人家族の場合は最低賃金にして64か月分が一日の食料を手にれるために必要な金額だというのである。  更に同調査は2015年から2018年の間に貧困は増大し、2018年には51%の家庭が貧困に陥っていると報告している。それは680万人が食料難にあることを意味するという。  それを裏付けるべく国連の食糧農業機関(FAO)は2010~2012年と比較して2015年~2017年は食料事情は4倍も悪化しているという。  そのような影響から、Encovinは61%のベネズエラ市民が2017年には10キロ以上体重が減ったことが確認している。(参照:「Perfil」、「La Gran Epoca」、「La Patilla」)

2017年から5歳未満の幼児が2万人以上死亡

 冒頭で触れた5歳未満の子供の栄養失調について、その影響は取り返しのつかない結果をもたらすと指摘している。心臓血管病や糖尿病に罹り易くなり、体力そして知能の未発達も懸念されるという。  親が病院に連れて行きたくても治療代が払えない。病院も医療設備は機能せず、医薬品も不足していて治療できないという事情を抱えている。  同様に、2017年からベネズエラでは5歳未満の幼児が2万人以上亡くなっているという悲惨な事実もある。(参照:「Libre Mercado」)
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身内優先が横行したチャベス・マドゥロ時代の歪み
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