全国のパチンコ店から、
「ハーデス」や
「バジ絆」、
「まどマギ初代」や
「モンハン月下」が、今年中にすべて撤去される。パチスロをやらない人からすれば、一体なんの事を言っているのか分からない事ではあるが、これらは現状、パチンコ店の稼働や売上に大きく貢献している主要なパチスロ遊技機であり、多くのファンに支持されている遊技機でもある。
なぜ撤去されるのか。
2018年2月に施行された遊技機規則等の改正により、現在パチンコ店に設置されている旧規則機は2021年1月までにすべて撤去されるのだが、遊技機ごとに撤去のタイミングは異なり、都道府県の各公安委員会が定めた設置期限(最大6年間)を過ぎたものから順次撤去されていくことになる。そしてこれらのパチスロ機は、今年の年末にその設置期限の満了を迎える事になるのだ。
年末の一大撤去。そのパチンコ店の経営に与えるそのインパクトはかなり大きい。
アナザーゴッドハーデス~奪われたZEUSver.(約42000台撤去)
バジリスク~甲賀忍法帖~絆(約57000台撤去)
SLOT魔法少女まどか☆マギカ(約25000台撤去)
パチスロモンスターハンター月下雷鳴(約13000台撤去)
ハッピージャグラーVⅡ(約24000台撤去)
これらのほかにも設置期間が切れる遊技機があり、その台数は全国で20万台以上となる。新台で1台40万円はくだらないと言われる遊技機。単純計算でも業界全体で今後6カ月、800億円の投資が必要となる計算だ。
撤去はパチンコホールの生き残りをかけた「第一のふるい」
ホール関係者の頭は痛い。
新規則機に入れ替えるための予算確保は勿論のこと、そもそも入れ替えるべき新規則機(6号機)の供給スピードがままならない。市場投入された6号機の結果も芳しくない。
「このままだと本当に全台入れ替えられないかも知れない。島閉鎖(遊技スペースの縮小)やベニヤ(遊技機設置スペースにベニヤ板をはる事)もあり得るかも知れない」
都内某ホールの営業部長の言葉だ。では新台ではなく割安の中古機の導入ならどうか。
「稼働や売上が見込める中古機は、軒並み価格が高騰していて、機種によっては新台価格を上回るものもある。中古機はあくまで補填でしかない」
とりあえず遊技機の数を確保するためだけの導入なら出来なくはないが、導入したところでお客さんが遊んでくれなければ意味はない。
そもそも新規則機は、ギャンブル等依存症対策として大きく射幸性を抑制された遊技機であり、遊技客の立場でいえば、比較的低投資で長く遊べる遊技機である。これは裏を返せば、店側の売上や利益は、旧規則機に比べ大幅にダウンすることを意味している。大きな投資で遊技機を導入したとしても、相応の売上や利益が見込めない。
今年の年末の主要なパチスロ機を含む20万台撤去は、まさにパチンコホールの生き残りをかけた「第一のふるい」であることは間違いない。