呂布カルマはなぜKOK制覇後もMCバトルに出るのか?~呂布カルマと語るMCバトル盛衰史第3回<ダメリーマン成り上がり道#17>
ウェイトの乗った強烈なディスを次々と繰り出すMCバトルのスタイル。サングラスにオールバック、柄シャツという “そちらの筋の人”にしか見えないビジュアル。その存在のすべてがシーンのなかでは異色であり、圧倒的な個性を放っている呂布カルマ。彼はいかにして現在の独自の地位を築き上げたのか。またバトルの世界で頂点に立ったあとも、戦い続ける理由は? MC正社員の連載『ダメリーマン成り上がり道』の第17回は、引き続き呂布カルマとの対談をお送りする。
――呂布さんはいろいろな大会に出てきたと思いますが、そのなかで正社員さんが主催する戦極MCバトルはどんな大会という印象ですか?
呂布カルマ(以下、呂布):「まずこの人は本当に“バトルの変態”だと思いますね。ただ漠然と大会を開いているわけでなく、ときに失敗もしながらも、いろんなことを一番試している大会だと思います。ほかは『バトルをしているだけ』の大会も多いですから。若いヤツらの大会は、吉田くんの歳まで続けられるのかな、と思うこともあるし……」
MC正社員(以下、正社員):「すげー気持ちいい(笑)。嬉しいですね」
呂布:「あと戦極MCBATTLEは、どのMCが優勝するかを見る大会というより、主催している吉田くんがシーンのなかでどう勝ち上がっていくかを見る大会だと思うんです」
正社員:「それ、前も言ってましたね」
呂布:「あの吉田くんがジブさん(ZEEBRA)とラジオをやっているとか、こうやってインタビューを受けているとか、そういう変化を楽しむ大会なんですよ。戦極は」
正社員:「俺も呂布さんがヒップホップの世界でどう勝ち上がっていくのかなというのはスゴく気にして見ていますよ。呂布さんは、時間をかけて自分を正義にしてきた人だと思うんですよ。俺のなかでは’11年のUMBの頃から『呂布カルマはヤバい』という空気が広がってきて、そのあとに呼ばれた罵倒(MC BATTLE THE罵倒)でもSIMON JAPとスゴい試合をして。戦極では12章(『戦極 MC BATTLE第12章 関東乱舞編』’15年6月6日、14日開催)のHARLEMもヤバかったですね。曲であるじゃないですか。『HARLEMでライブできるとは思わなかった』みたいな」
呂布:「デビューした頃に歌ってた曲に『HARLEMで週末に箱揺らす奴と、俺みたいに平日10分のカスのその差って何』って歌詞がありますね」
正社員:「そのHARLEMで実際にライブして、そこで優勝して。そのときの呂布さんの『これがボクシングならありえねえ。言葉のウェイトに差がありすぎる』っていう超有名なパンチラインが出たバトルは、動画もめちゃくちゃバズりました。あのバトルで『呂布カルマってヤベえ!』と多くの人が気づいたと思うんですよ。よく覚えてるんですけど、優勝したあとに電話をしたら『CDの追加プレスが入った』って言ってましたよね」
呂布:「あの頃はバトルに出るたびに過去のCDにすげー注文が入る状況でしたね。その場でもらえる賞金や物販の売り上げ以外でも、とにかくいいことしかなかった。今もそれが続いている感じですね」
大会そのものの成長も戦極MCバトルの魅力
時間をかけて自分を正義にしてきた
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