「ママ活」の現場で増えるマルチ商法勧誘。中高年専業主婦を狙う魔手

 弱い立場の人たちを食いものにする悪いヤツらは、いつの時代も存在する。彼らは常に食いものにできる社会的弱者を探しているのだ。子供や低所得者、老人が食いものにされる現場をリポートする。  健康器具を使ったマルチ商法を展開し、昨年破産したジャパンライフ。その元社長である山口隆祥が4月に家宅捜索を受けた。マルチ商法が狙うのは今も昔も情報に疎い者たちである。

家宅捜索を受けるジャパンライフ(写真/時事通信社)

ママ活が絶好の狩り場に!?

 多くの主婦たちから詐欺被害の経験を聞き取り取材しているライターの中山美里氏によれば、今、詐欺師たちの間では、ママ活とそしていまだに仮想通貨がキーワードになっているという。その手口は巧妙だ。 「ママ活サイトで知り合った主婦とピロートークをしているときに、スマホが鳴るんです。そしてスマホを見ながら『よし、今日は5万円!』とか言うんです。興味を持った主婦が聞くと、アプリを開いて仮想通貨のアービトラージ取引の自動取引ソフトの話をするのです」  被害に遭った千葉県の主婦、40代のAさんに話を聞いた。 「いろんな難しい用語を言われて、ちんぷんかんぷんでした。でも、その男性がソフトを使って自動で取引をしてくれる会社を紹介してくれたんです。10万円くらいなら……と預けて契約を結ぶと、2、3日に1度のペースで利益が振り込まれるようになったんです」

情報弱者の主婦は“お得意様”

 友達を紹介したり、預ける金額が増えればさらに配当も上がるとも言われ、Aさんは主婦友達を4人も引き込んでしまった。 「友達からは『あなたのおかげで海外旅行に家族で行ける』とか言われて有頂天になってました」  中山氏によれば中高年の専業主婦の背中を押すキーワードは「安心感、共感、羨望」だという。 「配当が振り込まれていた間は、Aさんは主婦友達から『すごい人』と言われていました。そして裏では詐欺師の男性と逢瀬を楽しむ。ある意味、充実した日々だったのでしょうね」
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友達を詐欺事件に巻き込んだAさんから、友達はいなくなった
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