新義州青年駅の隣りにある金日成主席と金正日総書記の銅像
4月末、一部の人たちの間で熱望されていた北朝鮮の新義州ツアーが3年ぶりに再開した。しかし、それからわずか3週間足らずで再び全面停止となってしまった。一体、何があったのだろうか。
中国人にとって「もっとも気軽に行ける外国」、新義州
ゴールデンウィーク直前の4月末、丹東の旅行会社関係者から日本人(中国人以外の外国人)向けの新義州日帰りツアーが再開されるとの情報が入ってきた。早速、複数の旅行会社関係者へ確認すると、彼らの多くもまだ知らない状態だったが、調べてもらうと事実であることが分かった。
中朝国境の丹東と接する新義州は、日本統治時代に朝鮮半島と満州国をつなぐ鉄道の要所として作られたことから街の歴史が始まる。
丹東を訪れたことがある人なら鴨緑江を隔て川幅の狭い場所なら500mもない先にある新義州を眺めた人も多いと思う。その新義州は、中国人向けの観光地として開放され、中国人がもっとも気軽に行ける「外国」として人気となっている。
中朝関係が冷え込んでいた2015年~18年初頭くらいまでは閑散としていたが、昨年から再び活気を取り戻し多くの中国人が訪れている。
中国人に人気の理由は、インドネシアやモロッコなど中国籍の人がビザなしで行ける数少ない場所(国)だけでなく新義州に限れば何とパスポートも不要というまるで中国国内旅行の延長のようなノリで行くことができるからだ。
中国人日帰りツアー客向け施設と後ろは未開放の旧王子製紙工場跡
そこを日本人を含めた外国人にも再開放したことになる。「再」と書いたのは、2015年12月に日本人向けに新義州単独滞在が認められたことがあったからだ、しかし、徐々に審査が厳しくなり半年後の2016年夏前には完全停止してしまったので、約3年ぶりの開放となるわけだ。
北朝鮮側の担当旅行会社は、3年前と同じくローカル旅行会社の「新義州妙香山国際旅行社」で中国側は、丹東の中堅旅行会社「中国国際旅行社」が1社での独占権を得ていた。
同社へ問い合わせをしたところ、日帰りツアーで日本円で約4万5000円。1泊2日で約6万円(日本語ガイド付き価格)とのことだった。どう考えても高額な旅だが、それでも一定の日本人からのニーズは熱い。
いったいなぜ日本人からのニーズがあるのだろうか?