パチンコ店、「集客イベント」の断末魔。しかし、業界もホール側もむしろ禁止に賛同?

パチンコ店イメージ

てぃらいみ / PIXTA(ピクスタ)

規制強化される「取材系イベント」

 パチンコ店における集客イベントの主流となった「取材系イベント」が、厳しく規制されはじめている。  パチンコ店では、出玉を謳ったイベントは、常に警察行政の厳しいチェックを受けており、ある程度地域差はあるものの、「新台入替」や「リニューアルオープン(=設備等の変更)」等の事実に基づく宣伝や、新しい景品の入荷告知(※特定の機種を示唆していない景品に限る)くらいに抑えられている。  これはパチンコ店が「著しく客の射幸心を煽らない」ための措置であり、客の射幸心を煽る事は風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)で厳しく規制されているからだ。  そのような規制の中で、パチンコ店が「集客ツール」として利用しているのが、所謂「来店系イベント」、「取材系イベント」である。しかしこれらの「来店系イベント」、「取材系イベント」も昨年末あたりから、各地域にあるパチンコ店の組合の名のもとに、自主規制という名の禁止措置が取られ始めている。  パチンコ店の「取材系イベント」とは何なのか? その「イベント」を自ら禁じるパチンコ業界の思惑は何なのか?

集客イベントの「三店方式」

 パチンコ店の「取材系イベント」については、過去記事(2018年12月22日HBO「取材系イベントなども規制強化の方向。なぜ、パチンコ店の広告だけ規制されるのか?」)にも書いたが、簡単に説明すれば、 「パチンコ店の依頼を受けた広告会社が、パチンコ・パチスロライターや専属タレントらを、取材という名目でパチンコ店に派遣する。この取材派遣を、SNS等を通じて広く告知し集客を図るイベント」 の事である。  SNSでは、取材日、取材店舗が公表されており、ライターやタレントのSNSをフォローしている一般ファンがその当日にお店に押し掛けるという仕組み。  勿論、お店に来る一般ファンの目的は、(一部の人を除いて)ライターやタレントに会う事ではない。その日、その店の出玉を期待しているのだ。  このような取材イベントでは、「〇〇機種徹底取材」という名のもとで、特定の機種を示唆していたり、取材当日のSNSの更新で「○○の機種が良い感じ」と伝えたりする。  この「取材系イベント」のポイントは、パチンコ店が直接宣伝を行っていないという体裁が保てる事だ。あくまで取材をしているのは、雑誌や動画の媒体であり、パチンコ店はその取材の協力をしているという形を取れるのだ。いわば体のいい「広告宣伝の三店方式」である。  まったくパチンコを打たない人でも、店頭に「○○さん来店!」というポスターを見た人は多くいるだろう。一般的にはまったく知名度のない人が来店して、果たして何の効果があるのだろうか不思議に思う人がいたかも知れないが、ざっといえば、こんなカラクリなのだ。
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取材系イベントを禁じたい業界の思惑
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