マイクロソフトが「IEやめません?」。一般利用者とIT技術者の、IEへの大きな温度差

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マイクロソフトが「IEやめません?」

 2月の上旬に、マイクロソフトが『Internet Explorer』の使用をやめるよう要請しているという記事が流れてきた(マイクロソフト、企業にInternet Explorerの使用をやめるよう要請)。この記事に対して、多くのIT技術者、特にWeb系の人たちが反応していた。それはなぜだろうか?  ITの現場にいると分かるのだが、IEはかなり嫌われている。その嫌われ者のIEを、世に送り出したマイクロソフト自身が、使用をやめるように要請したということで、様々な感情が噴き出したのだ。この記事では『Internet Explorer』の歴史と、IT技術者の見るWebブラウザの世界を、一般向けに書いていくことにする。

Internet Explorerとは何なのか?

『Internet Explorer』は、数あるWebブラウザの1つで、Webページを閲覧するためのソフトだ。ある時期は「Webブラウザと言えばIEである」とまで考えられていた。今でも、Windowsに付属してくるIEのことを、Webブラウザの全て、あるいはインターネットそのものだと思っている人もいるだろう。しかし、最初からそうだったわけではなく、今もそうであるわけではない。  世界最初のWebブラウザは、1991年に登場した『WorldWideWeb』だ(World Wide Webとは違う固有名詞。ソフトの名前)。その後、1994年に『Netscape Navigator』が登場して、シェアの9割を獲得する。『Internet Explorer』が登場したのは1995年。OSへの同梱戦略でシェアを伸ばし、2000年初頭にシェア95%の独占状態になる。  人によっては『Internet Explorer』と言えばこの時期の印象が強いかもしれない。『Internet Explorer 5』が1999年、『Internet Explorer 6』が2001年にリリース。この頃がIEの絶頂期になる。  続く『Internet Explorer 7』が登場するのは2006年、8が登場するのは2009年。その頃には、2004年にリリースされた『Mozilla Firefox』がIEの市場を食い、4割のシェアを達成する。さらに2008年には『Google Chrome』が登場して快進撃を始める。2019年の現在では、この『Google Chrome』が最多シェアのWebブラウザになっており、6~7割を占めている。  IEのシェアは、今や8%程度まで低下した。IEの後継ソフトの『Microsoft Edge』(2015年登場)も、シェアは5%程度であり、Webに対するマイクロソフトの存在感は、往時ほどない。また、もはやWebは、PCではなくスマートフォンで見るものになっており、そこに『Internet Explorer』の名前はない。  こうしたWebブラウザの歴史から分かるのは、IEはかつて覇権ブラウザであり、今は凋落ブラウザであるということだ。それではなぜ、Web系のIT技術者たちは、IEに対して様々な怒りや恨みの感情を抱いているのか。それは、覇権時代にIEが採った戦略と、存在したバグ、そうした負の遺産にある。 * 1991年『WorldWideWeb』登場 * 1994年『Netscape Navigator』登場 * 1995年『Internet Explorer』登場 * 1997年『Internet Explorer 4』登場(Windowsとの統合が図られる) * 1999年『Internet Explorer 5』登場(IEの絶頂期) * 2001年『Internet Explorer 6』登場(IEの絶頂期) * 2004年『Mozilla Firefox』登場(IEの凋落が始まる) * 2006年『Internet Explorer 7』登場 * 2007年『iPhone』初の端末が発売 * 2008年『Android』初の端末が発売 * 2008年『Google Chrome』登場(現在の覇権ブラウザの登場) * 2009年『Internet Explorer 8』登場 * 2011年『Internet Explorer 9』登場 * 2012年『Internet Explorer 10』登場 * 2013年『Internet Explorer 11』登場 * 2015年『Windows 10』『Microsoft Edge』登場 * 2019年(Google Chromeがシェアの過半を占める)
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IEが技術者に嫌われたワケ
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