「安かろう悪かろう」は過去の話? 魔改造的多機能も魅力の「中国家電」の世界

かつては「安かろう悪かろう」のイメージが強かった中国製品だが、最近では「高コスパ」製品へと進化を遂げつつある。HUAWEI問題をはじめとする米中貿易戦争のあおりで、日本でも再び評判を落としかけているのはもったいないかぎり。今こそフェアに評価したい、中国の良品を厳選して紹介する!
イラスト/もりいくすお

イラスト/もりいくすお

いろんな機能を交ぜるのが中華家電のスピリッツ!

 中国製品が「安かろう悪かろう」だったのは過去の話。屋台で売っているジャンク品ならともかく、一般的な家電などでは、ダメなものを見つけるほうが難しくなっている。 「というのも、中国では今、人件費が高騰していて、製造のラインがどんどん自動化されているんですよ。自動化されるということは、人の能力による差がなくなるということなので、はんだづけがヘタクソですぐ壊れる……みたいな失敗はなくなる。大企業は言わずもがな、中規模レベルの企業でも積極的にラインの自動化を進めているのが現状ですね」(家電ライターのコヤマタカヒロ氏)

中国の工場ではオートメーション化が進行中。安定したクオリティの製品を供給できるようになっている AP Photo/Vincent Yu

 となると、単に「安くて普通以上のクオリティ」というだけならネタにならない。国産品を差し置いて中国製品に注目すべき理由はあるのだろうか? 中国雲南省を拠点とする、中国アジアITジャーナリストの山谷剛史氏は次のように語る。 「中国人は、いろいろなものを交ぜ合わせるのが得意。すでにある部品を組み合わせて『これまでにないものを作っちゃえ』的なスピリッツがあります。とにかく多機能なものが好きで、個人的にもそこに面白さを感じますね」  例えば最近、日本でも口コミでヒットしている「popIn Aladdin」は、プロジェクター、サウンドシステム、シーリングライトが一体となった「世界初の3in1スマートライト」。メーカーは中国の検索エンジン会社「百度」の子会社で、本社は日本にあるが、そこには確かに中国らしい“多機能好き”の精神が感じられる。
スマートライト「popIn Aladdin」

プロジェクターつき照明という新発想に脱帽! スマートライト「popIn Aladdin」

●スマートライト「popIn Aladdin」 実勢価格 7万9800円 「LEDシーリングにプロジェクターを内蔵する仕組みを実現できたのがすごい。Netflixに対応するなど、OSを次々にバージョンアップしているのも好印象」(コヤマ氏) 「中国人が重視するのは、コストパフォーマンス以上にハイスペックであること。冷静に考えると『いるの?』みたいな機能を惜しげもなく載せてきます。例えばスマホで有名なシャオミは、近年では無印良品っぽいオシャレ家電もたくさん出しているのですが、設定自体はかなり複雑なんですよ。炊飯器の場合、標高が1800mの雲南省と4mの上海市では水の沸点が違うので、スマホと連携してGPSで位置を特定し、最適な炊き加減を設定する……みたいな。正直、僕には味の違いがわかりませんでしたが、そういうマニアックな機能が好まれるんですね」(山谷氏)  無難にまとまりがちな昨今の国産家電にはないカオスが、中華家電の持ち味というわけだ。では、逆にウイークポイントは? 「説明書がわかりにくい。作ったほうはわかっているんだけど、ユーザーには全然伝わらない……みたいなことがままあります。独りよがり的なところが強いというか。一部のメーカーはだいぶ良くなりましたけど、基本的には『とりあえず使ってみろ』みたい感じ。ユーザーにもそれなりのチャレンジ精神が求められます(笑)」  そんな挑戦を受けて立つのも、中華家電を使う醍醐味だ。
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多機能&ハイスペック! 中華家電ベストバイ
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