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アメリカの大統領選でロシアがネット世論操作を仕掛け、日本の選挙戦でもデマの応酬が目立つようになってきた。イギリスのEU脱退、フランス大統領選、カタルーニャ分離独立騒動などネット世論操作の実例は枚挙にいとまがない。フェイクニュース全盛時代の幕開けがやってきた。
なお本稿ではネット世論操作の一手段としてフェイクニュースを位置づけている。ネット世論操作と書いた場合は、フェイクニュースを含むネット上の世論操作を指している。
日本は世界でも有数の
ネット世論操作対策後進国だった。ヨーロッパ、北米、アジアなどほとんどの国はネット世論操作対策組織や法律を持ち、民間レベルでもファクトチェック団体があるのに対し、日本はなにも手を打ってこず、ファクトチェック団体もひとつしかない。やっと総務省がフェイクニュース対策に乗り出すと発表した。(参照:
政府、デマ拡散抑止へ本格対策 選挙や災害時、法制化は見送り--東京新聞)
これに対して法律上の問題や、そもそも
政府自身が改竄やねつ造を繰り返している状況で誰がフェイクニュースを判別できるのかといった疑義などさまざま意見が現れた。
ちなみに、フェイクニュースの定義とそれぞれの定義ごとの対策などを網羅的に整理したレポートがデータ&ソサエティ研究所から発表されており、それを元にした分析を拙著『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)第2章で行っているので関心のある方は参考にしていただきたい。
そのレポートの結論は現在、有効な定義は存在せず、法律などによる政府の対策、SNS事業者などプラットフォームの対策、民間のファクトチェック団体などによる対策、いずれも現状では功を奏して折らず、このままでは有効な対抗手段とはなり得ないとなっている。
ネット世論操作について多くの人が誤解していると思うので、その点をまず説明しておきたい。