フランス人はなぜ長期休暇を取れるのか? バカンス文化を支える共通意識

 いよいよ、働き方改革関連法案が‘19年4月から順次施行される。しかし、実態として働きすぎが改善できるのか、働きがいが実現できるのかという点の議論は、まだまだ足りないように思えてならない。今回は、長くフランス企業で勤務し、現在はトヨタコネクティッド株式会社でキャリア開発支援の責任者を務める田中倫子氏に、本連載「分解スキル反復演習が人生を変える」でお馴染みの山口 博氏が迫る。

3月のバケーションの準備を11月から始める

トヨタコネクティッド株式会社キャリア開発支援グループ グループマネジャー・田中倫子氏(左)と山口 博氏

山口 博氏(以下、山口):パリでフランス企業に勤務された経験をふまえて、フランスと日本のビジネスパーソンの働き方の違いについて、どのように感じていますか? 田中倫子氏(以下、田中):フランスを含めて、欧州で働くビジネスパーソンは、2週間や3週間といったバケーションを毎年取得するのが一般的。それは、相当な期間の休暇をしっかりとることが人生そのものに組み込まれており、心身の健康が維持できて、全体としていいパフォーマンスが出せると考えているからなのです。 山口:日本では依然、そのような長期休暇を取得する人が出てくると、仕事が回らないという根強い抵抗感があるように思います。 田中:フランスでも、突然、「明日から3週間休みます」という人はいません。2週間以上の休暇を取得する場合は、2か月から4か月くらい前から、休む予定の本人が仕事の段取りを組んで、スケジュール調整をし、休暇を実現していました。3月の休みの話を11月からしているのです。そして、不在時にフォローが必要な場合は、ほかのメンバーへ引き継ぎをしたり、チームで調整したりする。そうしたことが「お互いさま」だったのです。当社でも、そうやって長期休暇を取るメンバーが何名か出てきています。 山口:全メンバーがバケーションをとることが大前提で、お互いに調整し合うということが普通のこととして行われているのですね。しかし、長い休暇を取るとなると、取得時期のバッティングなどが生じませんか?
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長期休暇がメンバー間でバッティングしない理由
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