恩赦取消のアルベルト・フジモリの為に75歳以上が自宅軟禁できる法案を議会はスピード可決
前回お伝えしたように、南米ペルーで10月3日、アルベルト・フジモリ元大統領(80)への恩赦が法廷で取り消されるという出来事があった。それから僅か1週間が経過した10月9日、ペルー共和国議会は75歳以上の男性で服役して3分の1以上が経過した者は自宅軟禁が許されるという法案3533条が賛成55票、反対30票、棄権2票で可決した。女性の場合は同様の条件下で65歳以上とされた。また、重病にある男性の場合は女性と同じく65歳で出監できるとした。(参照:「Diario Correo」)
7政党の内の5政党がこの法案に反対を表明し、採決される前に事前に委員会にて検討されるべきだと主張していた。が、ケイコ・フジモリが党首を務めている人民勢力党(Fuerza Popular)は議会で無所属を加えて過半数を占め強引に委員会を通さずスピード採決で可決させた。
狙いは勿論、アルベルト・フジモリが再度刑務所に戻ることが無いようにするためである。この恩恵をまもなく受ける人物にフジモリ政権で情報局部長を務めたブラディミロ・モンテシノスがいる。彼は現在73歳、あと2年で出監できることになる。フジモリとモンテシノスは出監して刑を満たすまで自宅軟禁となる。これを皮肉って、この法案をフジモリーモンテシノス法と呼んでいる。(参照:「El Pais」)
この法案が有効となるには、可決した日から15日以内にマルティン・ビスカッラ大統領が承認の署名をすることが必要だ。大統領は当初からこの法案に賛成する意向を表明していた。しかし、議会で可決した今、それに反対している勢力から大統領に署名せず撤回するようにという強い圧力がかかっているという。
フジモリがこれまで刑に服していた犯罪の遺族の弁護士で、恩赦の取り消しに活躍したグロリア・カノは「80年―90年代に人権侵害者を無処罰にすることを保障するために作られた法案だ」としてこの批准に反対を表明している。(参照:「El Pais」)
また、与党、変革のためのペルー国民党の議員カルロス・ブルセも、「特定の個人に恩恵を与えるためにつくられた法案は議会で承認させるべきではない」と指摘している。(参照:「La Vanguardia」)
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