間違いだらけの企業研修。参加形態や名札の有無で効果が激変

 近年、さまざまな形式のものが実施されている企業研修。その効果を最大限に発揮するには、どういった形が望ましいのか? 本連載「分解スキル反復演習が人生を変える」でお馴染みの山口博氏が分析する。

ほんの些細な違いが、企業研修においては大きな変化を生む photo via ashinari

参加形態や受付の仕方ひとつで、演習効果は変わる

 私は身につけたいスキルをパーツ分解し、コアスキルをひたすら反復演習していく「分解スキル反復演習」を実施している。演習効果を高める調整をすればするほど、企業で行われている通常の研修とは、真逆の方法を取り入れて進行するようになった。  そもそも、研修への参加形態にも、強制的な全員参加か、希望者のみの任意参加かの違いがある。企業で行われている研修は、階層別にその階層の全員を参加させるものが多い。しかし、私は希望者を先着順で受けつけて、任意で参加してもらい実施することを奨励している。その方が、演習成果が高まるからだ。  私は、スキルが上がるかどうかは、参加者ひとりひとりがもつ、スキルを上げたいというモチベーションの高さにかかっていると考えている。当然、任意参加型プログラムに参加する希望者は、高いモチベーションをもって参加する。モチベーションが高い参加者が演習していくので、演習成果が上がる。強制的な全員参加の研修よりも、プログラム参加者全体のスキル向上の総和は高くなるのだ。  また、受付の方法も異なる。通常行われている研修では、会場の入り口近くに受付台が設けられ、そこに主催部門の担当者が立っている。手元には対象者名簿があり、会場に来る人から順に、準備された対象者名簿に出席のチェックを入れていく。本人が対象者名簿にチェックを入れる場合もある。  希望者先着順任意参加型プログラムは、そもそも参加は任意なので、出席のチェックは不要だ。「出席者は把握しなくてもよいのか」と思う人が多いが、もし出席者を確認したければ、氏名が記載された演習シートを回収してもよいし、席の名札を回収してもよい。負荷を省略すればするほど、演習効果は上がると考えているからだ。  加えて、研修会場に到着して、まず出席をチェック「される」ということが、参加者のモチベーションを低下させる。自分で出席のチェックを入れるにしても、出席をチェック「しなければならない」ということが、モチベーションを低下させるのだ。
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細かいディテールが演習効果を左右する
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チームを動かすファシリテーションのドリル

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