ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手の活躍が連日取り上げられ、とうとう、アメリカン・リーグの新人王争いをリードしているとの
報道もされている。
それもただの活躍ではない。二刀流ができるはずがないという世論を北海道日本ハムファイターズ時代に覆し、メジャーリーグでは通用しないというオープン戦での下馬評を覆し、右ひじ靭帯の損傷が発覚するなかでも打者としてペースを上げて20本塁打を記録している。
もはや、「だから二刀流は無理だと言ったではないか。打者に専念すべきだ」という声は出てこない。逆に、右ひじ靭帯の損傷が回復する2年後には、すさまじい成績を投打で残すのではないかという期待さえされている。まさに世の中の常識を変えた、時代を画する取り組みをした典型例だ。
ビジネスパーソンには、2つのタイプの人がいる。世の中の慣習、周囲の評判を気にして、それに従って生きる、
行動の価値基準が自分の外側にあるタイプと、自分がどうしたいのかという思いに従って、それを実現しようとする、
行動の価値基準が自分の内側にあるタイプだ。
企業においては、どちらのタイプも必要なのだろうと思う。ひとつの命令のもと一気呵成に人海戦術である作業を成し遂げなければならない場面もあるだろう。そうした時には行動の価値基準が外側にある人たちが役割を果たすに違いない。
一方、環境変化に即応してビジネスを発展させる、新しい価値基準を作り上げることの担い手は、行動の価値基準が内面にある人たちが圧倒的に多い。私が人事部長を務めた会社は、いずれも後者の必要性が高かったので、採用にあたっては常に行動の価値基準が内面にあるかどうかを判断基準にしていた。
「そんなことを見分けることができるのか」という質問を受けることがある。それが、実は簡単なやりとりで見抜くことができるのだ。私が多用しているのは、次の方法だ。
「10から1で、今の自分の気持ちの高まり度合を見極めてください」ということだけをガイドするのだ。
すると、多くの割合で、「何に対する気持ちの高まり度合ですか? 仕事についてですか?プライベートについてですか? このセッションについてですか?」という質問が出る。
しかし、そのように質問されても、私には答えることができない。なぜならば、答えている人の内面の気持ちのもちようを私は知ることができないからだ。答えている人が仕事のことが頭で一杯であれば仕事についての気持ちの高まり度合についてだろうし、怪我をした家族のことで頭が一杯だったら家族についての気持ちの高まり度合だろうし、このセッションのことで頭が一杯だったらこのセッションのことになる。
また、「10の定義は何か? 5の定義は何か? 1の定義は何か?」という質問も出る。「他の人と相対評価する目的ではないので、共通の定義はない。ご自分が思ったとおりに見極めてください」と答える。