「はやぶさ2」が約22kmの距離から撮影した小惑星「リュウグウ」。これから「はやぶさ2」はこの謎多き天体に挑む (C) ONCチーム: JAXA、東京大学、高知大学、立教大学、名古屋大学、千葉工業大学、明治大学、会津大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2018年6月27日、小惑星探査機「はやぶさ2」が同日9時35分、目的地である小惑星「リュウグウ」に到着したと発表した。
2014年の打ち上げ以来、大きなトラブルを起こすことなく往路を完走し終えた「はやぶさ2」は、これからいよいよリュウグウの探査に挑む。
「はやぶさ2」はJAXAが2014年に打ち上げた小惑星探査機。2010年に数々のトラブルで満身創痍になりながらも小惑星「イトカワ」を探査し、地球帰還を果たした「はやぶさ」の後継機である。
「はやぶさ2」では、「はやぶさ」でトラブルが起きた箇所を見直すとともに、宇宙航行に使うイオン・エンジンの性能向上や、地球と高速通信を可能にする新しい通信機器を搭載するなど、さまざまな改良が施されている。
2014年12月3日に打ち上げられた「はやぶさ2」は、そのイオン・エンジンを何度かに分けつつ噴射したり、地球の重力を利用したりし、リュウグウ到着までに必要な速度を稼いでいった。
先代の「はやぶさ」はイトカワ到着までに、4基積んでいたイオン・エンジンのうちの1基が性能が予定より低かったり、探査機の姿勢を制御するための部品が故障したりと、トラブルが相次いだ。さらに運の悪いことに、太陽表面で起こる爆発現象「太陽フレア」にも遭遇。これによって発生した高エネルギーの電磁波や高エネルギー粒子の影響で太陽電池に障害が生じ、発電量が下がってしまうという事態も経験した。
「はやぶさ2」がリュウグウに到着したことを確認したあとの、運用チームの集合写真。JAXA宇宙科学研究所(相模原)にて (C) JAXA
しかし「はやぶさ2」では、大きなトラブルはなく、また太陽フレアのような事故に遭うこともなく、約3年半、累計飛行距離32億kmにわたる宇宙航行を順調に終え、無事にリュウグウへと到着した。それを可能にしたのは、「はやぶさ」でさんざん苦労した経験や教訓があり、そして「はやぶさ2」の運用において、運用チームが入念な準備と訓練を繰り返したからであることは間違いない。