社長や社員のイメージ媒体では「笑顔の作りすぎ」に注意! その理由とは

経営者がわざとらしい笑顔を浮かべたホームページを見たことがあるはずだ

 こんにちは。微表情研究者の清水建二です。本日は、笑顔にまつわる損得についてルインスキー(2015)の研究から考えてみたいと思います。  取引先や興味を持った会社のHPを見るとき、大半の方が会社概要や代表挨拶のページに意識が向かうと思います。私もそうです。会社概要のページから会社の規模やちょっとした社史などを見たり、代表挨拶のページから社長の想いや理想を把握しようとしたりします。  最近、そんな会社のサービス紹介や代表挨拶のページが動画になっていて、代表やコンサルタント本人がホームページ訪問者に直に語りかけてくれるような演出をしているものを多々目にします。会社が自社専用のYouTubeチャンネルを持っていることもあります。  さて、その動画に登場する代表なりコンサルタントら話し手は、どんな表情で私たちに語りかけているでしょうか。話し手の立場に立ってみましょう。ご自分が話し手ならばどんな表情でカメラの向こう側にいる視聴者に語りかけようとするでしょうか?  一般的に、笑顔が正解だと考えられています。話し方講座やマナーやイメージの重要性を説明する書籍などでは、笑顔に力点が置かれ、ニコニコして話し、ニコニコして写真に写ることが推奨されています。  しかし、笑顔を受けとる人、つまり表情の受け手の期待に笑顔が合わない場合、笑顔は効果的どころか逆効果になり得ます。  ルインスキー(2015)は、Youtube動画の人気度とそこに登場する銀行員の表情との関連性を調べました。調査の結果、動画の人気度と銀行員の表情とには次の関係があることがわかりました。 ①Youtube内で自社サービスを説明する銀行員が幸福表情や悲しみ表情のような親和的な表情を浮かべないほど、かつ驚き表情を浮かべれば浮かべているほど、Youtubeの再生数は伸びる。 ②怒り・恐怖・嫌悪などの非親和的表情と動画の再生数とは関連がないようです。  つまり、笑顔がない銀行員の方が人気、ということになります。これはなぜでしょうか?
次のページ 
笑顔がない銀行員の方が人気な理由
1
2